緑内障もある場合はどうする? 白内障との治療・手術の優先順位を解説

白内障と緑内障はどう違うのか?
白内障は「水晶体の混濁」、緑内障は「視神経の障害」という、まったく異なるメカニズムの眼疾患です。どちらも視機能を低下させる進行性の病気ですが、治療の目的と手術の意味が大きく異なります。
白内障は、眼の中のレンズ(水晶体)が白く濁ることで視力が低下する病気です。日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)の資料によると、70歳代で約90%、80歳代ではほぼ100%に白内障が認められます。加齢が主な原因ですが、糖尿病・アトピー性皮膚炎・ステロイド薬の使用なども発症に関係します。
緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害され、視野が徐々に欠けていく病気です。緑内障は日本人の中途失明原因の第1位であることが示されています。白内障と異なり、一度失われた視野は手術をしても回復しません。
- 白内障の特徴:手術で視力回復が可能。水晶体を人工レンズ(眼内レンズ)に置き換える。
- 緑内障の特徴:手術では視野の回復は不可。眼圧を下げて進行を抑えることが目的。
この「回復できるかどうか」の違いが、手術の優先順位を考えるうえで非常に重要な判断基準になります。
幕張久木元眼科
緑内障と白内障、両方が気になる方へ
どちらの治療を優先するかは、緑内障の進行度や白内障の程度によって異なります。検査のうえで一人ひとりに合わせてご提案します。

白内障と緑内障が同時に起きやすいのはなぜか?
白内障と緑内障は、加齢を共通の背景として持つため、同じ患者さんに併発するケースが少なくありません。特に60歳以上では両疾患のリスクが重なります。
白内障が進行すると、水晶体が膨らんで眼内の「隅角(ぐうかく)」と呼ばれる房水の出口を塞ぎ、眼圧が上昇することがあります。これが「水晶体起因性緑内障」や「閉塞隅角緑内障」の一因となります。つまり、白内障を放置することが緑内障の発症・悪化につながるケースがあるのです。
逆に、緑内障の治療で使用する点眼薬の中には、白内障の進行を促進する可能性があるものも一部報告されています。両疾患が絡み合うことで、治療方針の決定がより複雑になります。
- 閉塞隅角緑内障:水晶体が厚くなることで隅角が狭まり、眼圧が急上昇するリスクがある。
- 開放隅角緑内障:隅角は開いているが視神経が障害される。白内障との合併が多い。
- 水晶体起因性緑内障:白内障の進行が直接的な眼圧上昇の原因となる。
このように、両疾患は互いに影響し合うため、どちらか一方だけを診るのではなく、総合的な眼科的評価が不可欠です。
白内障と緑内障が併発した場合、どちらを先に手術すべきか?
緑内障が軽度〜中等度で眼圧がコントロールされている場合は、白内障手術を先行させるのが一般的な方針です。白内障手術によって眼圧が下がる効果も期待できるため、緑内障の管理にも好影響をもたらすことがあります。
白内障手術(水晶体再建術)を行うと、厚くなった水晶体が薄い人工レンズに置き換わることで隅角が広がり、房水の流れが改善されます。特に閉塞隅角緑内障の患者さんでは、白内障手術だけで眼圧が大幅に改善するケースも報告されています。
一方、緑内障が重症で、点眼薬やレーザー治療でも眼圧コントロールが難しい場合は、白内障手術と緑内障手術の同時実施(併用手術)が検討されます。
- 白内障手術を先行させるケース:緑内障が軽度〜中等度 / 眼圧が薬物療法でコントロール可能 / 視野障害が軽い
- 緑内障手術を先行させるケース:眼圧が非常に高く視神経への緊急リスクがある / 白内障がまだ軽度
- 同時手術(併用手術)を選ぶケース:白内障・緑内障ともに手術適応 / 眼圧コントロールが困難 / 患者さんの全身状態や希望を考慮
いずれの場合も、担当医による詳細な検査と個別の判断が必要です。自己判断で手術を先延ばしにすることは、緑内障の不可逆的な進行につながるリスクがあります。
白内障手術と緑内障手術の同時実施とは何か?
白内障手術と緑内障手術を同時に行う「併用手術」は、1回の手術で両疾患に対処できる有効な選択肢です。患者さんの負担を減らしながら、眼圧コントロールと視力改善を同時に目指せます。
代表的な同時手術の組み合わせとして、「白内障手術+白内障手術併用眼内ドレーン(iStent等)」があります。眼内ドレーンは、房水の流れを改善して眼圧を下げる小さなデバイスで、白内障手術中に同時に挿入します。日本眼科学会が作成した「白内障手術併用眼内ドレーン使用要件等基準(第3版)」(2024年12月)でも、その適応基準が詳細に定められています。
また、より重症の緑内障に対しては、「白内障手術+線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)」などの組み合わせも行われます。ただし、手術が複雑になるほど術後管理も慎重に行う必要があります。
- 眼内ドレーン(iStent等):軽度〜中等度緑内障に適応。低侵襲で白内障手術と同時に実施しやすい。
- 線維柱帯切除術(トラベクレクトミー):重症緑内障に対応。眼圧降下効果が大きいが術後管理が複雑。
- 線維柱帯切開術(トラベクロトミー):房水の流出路を切開して眼圧を下げる。白内障手術との併用が可能。
どの術式を選ぶかは、緑内障のタイプ・病期・眼圧の程度・患者さんの全身状態を総合的に評価して決定します。

手術の判断基準となる検査項目は何か?
手術の優先順位を決めるためには、視力・眼圧・視野・OCT(光干渉断層計)による視神経評価の4つが主要な検査項目です。これらの結果を総合して、手術の時期と術式を判断します。
特に緑内障の評価では、視野検査(ハンフリー視野計など)による視野障害の程度が重要です。視野障害が軽度(MD値-6dB以内が目安)であれば白内障手術を先行させやすく、中等度〜重度(MD値-12dB以下)になるほど緑内障手術との同時実施を検討します。
白内障の評価では、水晶体混濁の程度(Emery-Little分類など)と矯正視力が重要です。白内障が進行して矯正視力が0.5以下になると、日常生活への支障が大きくなるため手術適応が高まります。
- 視力検査:矯正視力が0.5以下で日常生活への影響が出ている場合、白内障手術の適応を検討。
- 眼圧測定:点眼薬で目標眼圧(多くの場合15mmHg以下)に達しているかを確認。
- 視野検査:緑内障による視野障害の範囲と進行速度を評価。
- OCT検査:網膜神経線維層(RNFL)の厚みを測定し、視神経障害の程度を客観的に評価。
- 隅角検査:閉塞隅角か開放隅角かを判断し、術式の選択に活用。
これらの検査は、初診時だけでなく定期的に繰り返すことで、病状の変化を正確に把握できます。「最近視力が落ちた気がする」「視野の端が見えにくい」と感じたら、早めに眼科を受診することが大切です。
白内障手術後に緑内障が悪化することはあるか?
白内障手術後に一時的に眼圧が上昇することがありますが、適切な管理を行えば多くの場合は落ち着きます。ただし、緑内障を合併している患者さんでは術後の眼圧管理がより重要です。
白内障手術では、手術中に使用する粘弾性物質(OVD)が術後に眼圧を一時的に上昇させることがあります。通常は24〜48時間以内に正常化しますが、緑内障の患者さんでは視神経へのダメージが生じやすいため、術後の点眼薬や経過観察が欠かせません。
一方、長期的には白内障手術によって眼圧が下がるケースも多く、特に閉塞隅角緑内障では白内障手術後に緑内障点眼薬の本数を減らせることもあります。これは、薄い眼内レンズに置き換わることで隅角が広がり、房水の流れが改善するためです。
- 術後の一時的な眼圧上昇:多くは24〜48時間以内に改善。緑内障合併例では特に注意が必要。
- 長期的な眼圧低下効果:閉塞隅角緑内障では白内障手術後に眼圧が安定しやすい。
- 術後の定期検査:眼圧・視野・OCTの定期的なフォローアップが必須。
術後管理の質が、最終的な視機能の維持に大きく影響します。手術を受けた後も、自己判断で点眼薬を中断したり、受診を怠ったりしないようにしましょう。
眼圧管理と白内障手術のご相談を承っています
当院では緑内障の点眼治療・レーザー治療から日帰り白内障手術まで対応しています。気になる症状があれば早めにご相談ください。
多焦点眼内レンズは緑内障合併例でも使えるか?
緑内障を合併している場合、多焦点眼内レンズの使用には慎重な判断が必要です。視野障害があると多焦点レンズ特有の光学的な影響(ハロー・グレアなど)が見えにくさを増強する可能性があります。
多焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方など複数の距離にピントを合わせられる高機能なレンズです。しかし、光を複数の焦点に分散させる構造上、コントラスト感度がやや低下する特性があります。緑内障による視野障害がある場合、この特性が日常生活での見えにくさに影響することがあります。
一方、緑内障が軽度で視野障害が限定的な場合は、多焦点眼内レンズを選択できるケースもあります。幕張 久木元眼科では、東京医科歯科大学病院白内障・屈折矯正外来元主任の院長が、患者さん一人ひとりの緑内障の病期・視野の状態・ライフスタイルを丁寧に評価したうえで、最適な眼内レンズを提案しています。
- 多焦点レンズが適しにくいケース:中等度〜重度の視野障害がある / コントラスト感度が著しく低下している。
- 多焦点レンズを検討できるケース:緑内障が軽度で視野障害が限定的 / 眼圧が安定してコントロールされている。
- 単焦点レンズが安全な選択肢:緑内障の病期が進んでいる場合は、単焦点レンズで確実な視力回復を優先する。
眼内レンズの選択は、白内障の状態だけでなく緑内障の病期・視野・眼圧・患者さんの生活スタイルを総合的に考慮して決定します。専門医への相談が不可欠です。

手術を迷っている場合、どのクリニックに相談すべきか?
白内障と緑内障の両方を診られる専門性の高い眼科クリニックへの相談が、最善の判断につながります。特に両疾患が併発している場合は、手術経験が豊富な医師による総合的な評価が重要です。
千葉県千葉市美浜区のイオンモール幕張新都心グランドモール1階にある幕張 久木元眼科は、東京医科歯科大学病院白内障・屈折矯正外来の元主任である久木元延行院長が診療を担当しています。大学病院での豊富な手術経験を持ち、白内障手術・緑内障手術・多焦点眼内レンズの選択まで、患者さんの状態に合わせたオーダーメイドの医療を提供しています。
- 日帰り白内障手術に対応:眼科手術専用顕微鏡を導入し、安全性に配慮した手術を実施。
- 多焦点眼内レンズを複数取り扱い:保険適用の分節型2焦点レンズ(約70cmから遠方まで焦点)から3焦点眼内レンズ・乱視矯正レンズまで対応。
- 緑内障手術にも対応:緑内障の診断管理から手術まで一貫して対応可能。
- 土日祝日診療が可能:イオンモール内立地で駐車場完備・院内バリアフリー対応。WEB予約システム導入。
「白内障と緑内障が両方あると言われた」「手術の順番や方法がわからない」という方は、ぜひ専門医に相談することをおすすめします。
白内障・緑内障の手術判断でお悩みの方は、東京医科歯科大学病院白内障・屈折矯正外来元主任の院長が診療する幕張 久木元眼科 白内障へお気軽にご相談ください。日帰り手術・多焦点眼内レンズ・緑内障手術まで、患者さん一人ひとりに合った最適な治療をご提案しています。
よくある質問
白内障と緑内障が両方あると言われました。どちらを先に手術すればいいですか?
緑内障が軽度〜中等度で眼圧が薬物療法でコントロールできている場合は、白内障手術を先行させるのが一般的です。緑内障が重症で眼圧コントロールが困難な場合は、同時手術も選択肢になります。担当医による詳細な検査と個別の判断が必要です。
白内障手術をすると緑内障が改善することはありますか?
閉塞隅角緑内障では、白内障手術後に隅角が広がり眼圧が低下するケースがあります。点眼薬の本数を減らせることもありますが、開放隅角緑内障では効果が限定的な場合もあります。
白内障と緑内障の同時手術はどんな場合に行いますか?
白内障・緑内障ともに手術適応があり、眼圧コントロールが困難な場合に同時手術が検討されます。眼内ドレーン(iStent等)を白内障手術と同時に挿入する低侵襲な方法から、線維柱帯切除術との併用まで術式は様々です。
緑内障があっても多焦点眼内レンズを使えますか?
緑内障が軽度で視野障害が限定的な場合は検討できますが、中等度〜重度の視野障害がある場合は多焦点レンズのコントラスト感度低下が見えにくさを増強する可能性があります。専門医との相談が必須です。
白内障手術後に緑内障が悪化することはありますか?
術後24〜48時間は眼圧が一時的に上昇することがありますが、適切な管理で多くは改善します。緑内障合併例では術後の眼圧管理と定期検査が特に重要です。
緑内障の視野障害は白内障手術で回復しますか?
緑内障による視野障害は、白内障手術では回復しません。白内障手術で改善するのは水晶体の混濁による視力低下です。緑内障の視野障害は不可逆的であるため、早期発見・早期治療が重要です。
白内障手術の費用はどのくらいかかりますか?
保険適用の単焦点眼内レンズを使用した白内障手術は健康保険が適用されます。多焦点眼内レンズは選定療養または自由診療となり、レンズの種類によって費用が異なります。詳しくはクリニックへお問い合わせください。
緑内障の点眼薬を使いながら白内障手術を受けられますか?
多くの場合、緑内障の点眼薬を継続しながら白内障手術を受けることができます。ただし、術前・術後の点眼スケジュールについては担当医の指示に従うことが重要です。
白内障・緑内障の手術は日帰りで受けられますか?
白内障手術は多くのクリニックで日帰り手術が可能です。緑内障手術は術式によって入院が必要な場合もありますが、低侵襲な眼内ドレーン挿入術は白内障手術と同時に日帰りで実施できるケースがあります。
幕張久木元眼科では緑内障と白内障の両方を診てもらえますか?
はい、幕張久木元眼科では白内障手術・多焦点眼内レンズの選択から緑内障の診断管理・緑内障手術まで対応しています。東京医科歯科大学病院白内障・屈折矯正外来元主任の院長が一人ひとりの状態に合わせた治療を提案します。
結論
白内障と緑内障が併発した場合、緑内障が軽度〜中等度で眼圧がコントロールされていれば白内障手術を先行させるのが基本方針です。重症緑内障や眼圧コントロール困難な場合は同時手術も有効な選択肢です。視野障害は不可逆的なため、緑内障の進行度を正確に評価したうえで早期に専門医へ相談することが、視機能を長期的に守るための最善策です。
幕張久木元眼科|白内障・緑内障の診療に対応
緑内障の定期管理と日帰り白内障手術、それぞれの状態に応じた治療をご提案します。土・日・祝日も診療しています。
千葉県千葉市美浜区豊砂1-1 イオンモール幕張新都心グランドモール1階/休診日:火曜
著者情報
幕張久⽊元眼科 院⻑ 久⽊元延⾏

経歴
獨協医科大学 医学部医学科卒業
東京医科歯科大学病院 臨床研修医
東京医科歯科大学 眼科学講座 入局
東京都立広尾病院 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
東京都立多摩総合医療センター 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
– 白内障・屈折矯正外来 主任
– 糖尿病網膜症専門外来
– 医療安全管理リスクマネージャー
幕張久木元眼科開院
【資格】
日本眼科学会認定眼科専門医
水晶体嚢拡張リング認定医
難病指定医
ボトックス認定医(眼瞼痙攣、斜視)
光線力学療法認定医
【所属学会】
日本眼科学会
日本眼手術学会
日本白内障屈折矯正学会
日本網膜硝子体学会
日本糖尿病眼学会


