点眼薬で白内障は治る?進行抑制薬の本当の役割と限界を徹底解説
- 2026年6月15日
- 白内障

本記事は、白内障の点眼薬(目薬)の種類・効果・限界から、手術を検討すべきタイミングまでを眼科専門医の視点で解説します。
白内障の点眼薬とは何か?どんな薬が使われているか?
白内障の点眼薬は、水晶体の濁りの進行を遅らせることを目的とした薬です。現在、日本で広く処方されているのは主に2種類です。
- ピレノキシン製剤(製品名:カタリン、カリーユニ):白内障の原因とされる「キノイド物質」が水晶体タンパクと結合するのを競合的に阻害し、混濁の進行を抑えます。
- グルタチオン製剤(製品名:タチオン):水晶体の透明性を保つ抗酸化物質「グルタチオン」を補い、タンパク質の酸化・変性を防ぎます。
どちらも医師の処方が必要な医療用医薬品であり、ドラッグストアで購入できる市販の目薬とは別物です。自己判断での使用は避け、必ず眼科を受診してください。

白内障の治療方法について知りたい方へ
千葉県千葉市で白内障の進行や治療について相談したい方は、幕張久木元眼科へご相談ください。
点眼治療と手術の違いをわかりやすくご説明しています。
点眼薬で白内障は本当に治るのか?効果の限界とは?
点眼薬で白内障を「治す」ことはできません。一度変性したタンパク質は元に戻らないため、濁りを透明に回復させる薬は現時点では存在しません。
よく「目玉焼きは生卵に戻らない」という例えが使われますが、まさにそのイメージです。水晶体内のタンパク質が変性・凝集した状態は不可逆であり、点眼薬はあくまでも「これ以上進ませない」ための措置です。
点眼治療の目的は「症状の進行を抑えること」に限定されます。視力を回復させたり、かすみを晴らしたりする効果はありません。
また、内服薬(ビタミン製剤など)も古くから使われてきましたが、現在の薬効評価基準では進行抑制効果が低いとされており、現在は点眼薬による治療が主流です。
ピレノキシン点眼薬の効果が期待できる条件とは?
ピレノキシン製剤の効果が確認されているのは、非常に限られた条件下のみです。
- 59歳以下の患者
- 皮質型白内障(水晶体の周辺部から濁るタイプ)
- 混濁面積が水晶体全体の20%以下という初期段階
投与後18ヶ月時点で進行抑制効果が認められた一方、以下のケースでは効果が確認されませんでした。
- 核白内障(水晶体の中心部が濁るタイプ)
- 後嚢下白内障(水晶体の後ろ側が濁るタイプ)
- 混濁面積が20%を超えた皮質白内障
- 60歳以上の患者
つまり、年齢・白内障のタイプ・進行度によっては、点眼薬がほとんど効かない場合もあるということです。「目薬を続けているから大丈夫」と過信するのは危険です。
もちろん、格安の点眼薬でも丁寧に継続して良好な経過を保てた例はあります。ただし、個人差や白内障のタイプによって再現性に大きな差が出るのが実情です。

点眼薬を使う際に注意すべき副作用はあるか?
点眼薬にも副作用があり、使用中は自己観察が必要です。
白内障ラボが解説するように、ピレノキシン製剤では以下の副作用が報告されています。
- 眼瞼炎(まぶたの炎症)
- 接触皮膚炎
- 結膜炎
- 刺激感・搔痒感(かゆみ)
グルタチオン製剤でも、刺激感や充血が現れることがあります。いずれも点眼を中止すれば改善するケースがほとんどですが、顔や白目が赤くなる、目やにが増えるなどの症状が出たら、すぐに点眼を止めて眼科を受診してください。
また、ピレノキシン製剤(カタリンなど)は有効成分が沈殿しやすい性質があります。点眼前に容器をよく振り、有効成分を均一にしてから使うことが大切です。
点眼薬での治療中はどんな経過観察が必要か?
点眼治療中であっても、定期的な眼科受診は欠かせません。点眼薬の効果には個人差があり、使い続けていても白内障が進行するケースは少なくないからです。
当院では、点眼治療中の患者さんに対して3〜6ヶ月ごとの定期検査をお勧めしています。視力・視機能の変化を数値で追うことで、「手術を検討すべきタイミング」を見逃さないようにするためです。
特に注意が必要なのは、自覚症状が乏しいまま進行するケースです。「目薬をさしているから問題ない」と思っていたら、いつの間にか運転免許の更新に必要な視力(0.7以上)を下回っていた、というケースも実際に経験します。
白内障は進行するほど水晶体が硬化し、手術の難易度が上がります。進行した白内障では超音波乳化吸引術の際に合併症リスクが高まり、術後の乱視も増える傾向があります。早期の段階で手術を行う方が、安全性・術後の見え方の質ともに有利なことが多いです。
白内障を根本的に治すには手術しかないのか?
はい、現時点で白内障を根本的に治す方法は手術のみです。濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し、人工の眼内レンズに置き換える「超音波乳化吸引術+眼内レンズ挿入術」が現在の標準治療です。
手術時間は通常10〜20分程度で、日帰りで受けられます。当院でも日帰り白内障手術に対応しており、眼科手術専用顕微鏡を導入することで、鮮明かつ詳細な視野のもと安全性に配慮した手術を実施しています。
眼内レンズには大きく2種類あります。
- 単焦点レンズ:遠方または近方のどちらか一点にピントを合わせるレンズ。術後はメガネ併用が基本になります。保険適用で費用負担が少ない点が特徴です。
- 多焦点レンズ:近方・中間・遠方の複数の距離にピントが合うレンズ。老眼も同時に改善できるため、メガネへの依存度を大幅に下げられます。当院では保険適用の分節型2焦点レンズ(約70cmから遠方まで焦点)や3焦点眼内レンズなど複数の選択肢を用意しています。
乱視がある方には乱視矯正レンズ(トーリックレンズ)も選択できます。どのレンズが最適かは、目の状態・生活スタイル・ご希望によって異なります。当院では患者さん一人ひとりの状況を丁寧に確認した上で、オーダーメイドのレンズ選択をご提案しています。

手術はいつ受けるべきか?タイミングの判断基準とは?
日常生活に支障が出始めたら、手術を真剣に検討するタイミングです。ただし「支障が出てから」では遅すぎる場合もあります。
超音波乳化吸引術は水晶体が軟らかい早期段階で行う方が合併症リスクが低く、術後の乱視も少なく済みます。逆に手術を先送りにすると、水晶体が硬化して手術難易度が上がるデメリットがあります。
手術を検討すべき具体的なサインとしては、以下が挙げられます。
- 矯正視力が0.7を下回り、運転・仕事・日常生活に支障が出ている
- 夜間の車のライトがひどくまぶしく、運転が怖くなってきた
- メガネを替えても視力が改善しない
- かすみや霞みが強くなり、読書・テレビ鑑賞が困難になってきた
- 点眼を続けているにもかかわらず、定期検査で混濁の進行が確認された
当院では、患者さんの生活様式・お仕事・ご希望を丁寧にお伺いした上で、その方に最適な手術時期をご提案しています。「まだ大丈夫かな」と迷っている段階でも、ぜひ一度ご相談ください。
市販の目薬で白内障の進行を抑えることはできるか?
市販の目薬で白内障の進行を抑えることはできません。ドラッグストアで販売されている目薬には、白内障の進行抑制を目的とした有効成分は含まれていません。
白内障の薬物療法に使われるピレノキシン製剤・グルタチオン製剤はいずれも医師の処方が必要な医療用医薬品です。市販品とは成分・濃度・規格が異なります。
「目薬を買ってきてさしていれば大丈夫」という誤解は非常に多いですが、これは残念ながら根拠のない期待です。白内障の疑いがある場合は、市販薬に頼らず眼科を受診することが先決です。
白内障の点眼治療・手術について、幕張久木元眼科では東京医科歯科大学病院白内障・屈折矯正外来元主任の院長が、患者さん一人ひとりの状態に合わせた診療を提供しています。日帰り手術・多焦点眼内レンズ・乱視矯正レンズなど幅広い選択肢をご用意しています。土日祝日も診療しており、イオンモール幕張新都心グランドモール1階という通いやすい立地です。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
点眼薬を毎日続ければ白内障は治りますか?
いいえ、点眼薬を続けても白内障は治りません。進行を遅らせる効果はありますが、濁った水晶体を透明に戻すことはできません。根本的な治療には手術が必要です。
白内障の目薬はいつまで続ければよいですか?
点眼薬は手術を受けるまでの間、進行抑制を目的として継続するのが一般的です。ただし効果には個人差があるため、定期的な眼科受診で経過を確認しながら医師と相談して継続の可否を判断してください。
カタリン点眼薬とカリーユニの違いは何ですか?
どちらもピレノキシンを有効成分とする同系統の点眼薬です。カタリンは溶解して使うタイプ、カリーユニは単回使い切りタイプという剤形の違いがあります。効果・成分は同等です。
白内障の点眼薬は保険適用になりますか?
はい、ピレノキシン製剤・グルタチオン製剤はいずれも保険適用の医療用医薬品です。眼科で処方を受ければ、通常の保険診療の自己負担割合(1〜3割)で使用できます。
白内障の手術は怖いですか?痛みはありますか?
手術は点眼麻酔で行うため、痛みはほとんどありません。手術時間は10〜20分程度で日帰り対応が可能です。怖いと感じる方は多いですが、現在の白内障手術は安全性が高く確立された術式です。
白内障の点眼薬に副作用はありますか?
ピレノキシン製剤では眼瞼炎・結膜炎・かゆみ・刺激感などが報告されています。症状が出た場合は点眼を中止し、眼科を受診してください。点眼中止で改善するケースがほとんどです。
多焦点眼内レンズと単焦点レンズはどちらがよいですか?
生活スタイルや目の状態によって最適解は異なります。メガネへの依存を減らしたい方には多焦点レンズが向いており、費用を抑えたい方や目の状態によっては単焦点レンズが適切な場合もあります。眼科専門医に相談して決めることをお勧めします。
白内障は放置するとどうなりますか?
放置すると水晶体がさらに硬化・白濁し、視力が著しく低下します。進行すると手術の難易度が上がり、合併症リスクも高まります。また、緑内障(水晶体膨化による眼圧上昇)を引き起こす可能性もあるため、早めの受診が重要です。
結論
点眼薬(ピレノキシン・グルタチオン製剤)は白内障の「進行を遅らせる」薬であり、濁りを治す効果はありません。効果が期待できるのも59歳以下・初期の皮質白内障という限られた条件下のみです。根本治療は手術のみであり、日常生活に支障が出る前に眼科で定期的に経過を確認し、適切なタイミングで手術を検討することが最善の選択です。
白内障治療の選択肢を確認したい方へ
点眼薬で様子を見るべきか、手術を検討すべきか迷われている方は幕張久木元眼科へご相談ください。
検査結果をもとに現在の状態に合わせた治療方針をご提案します。
著者情報
幕張久⽊元眼科 院⻑ 久⽊元延⾏

経歴
獨協医科大学 医学部医学科卒業
東京医科歯科大学病院 臨床研修医
東京医科歯科大学 眼科学講座 入局
東京都立広尾病院 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
東京都立多摩総合医療センター 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
– 白内障・屈折矯正外来 主任
– 糖尿病網膜症専門外来
– 医療安全管理リスクマネージャー
幕張久木元眼科開院
【資格】
日本眼科学会認定眼科専門医
水晶体嚢拡張リング認定医
難病指定医
ボトックス認定医(眼瞼痙攣、斜視)
光線力学療法認定医
【所属学会】
日本眼科学会
日本眼手術学会
日本白内障屈折矯正学会
日本網膜硝子体学会
日本糖尿病眼学会


