白内障で青や白がくすむ理由とは?色の見え方が変わるメカニズムを徹底解説
- 2026年5月17日
- 白内障

「最近、白い壁がなんとなく黄ばんで見える」
「青空の色が昔より鮮やかじゃない気がする…」
そんな変化に気づいたとき、多くの方は「疲れ目かな」と見過ごしてしまいます。しかし、その変化が白内障による色覚の変化である可能性は、決して低くありません。
白内障は、目の中にある「水晶体」が濁ることで起きる病気です。視界がかすむだけでなく、青や白といった特定の色がくすんで見えにくくなるという症状が現れます。この変化は徐々に進むため、自分では気づきにくいのが厄介なところです。
この記事では、眼科専門医の立場から、白内障によって色の見え方が変わるメカニズムを詳しく解説します。日常生活への影響や、見過ごしてはいけない事故リスクまで、知っておくべき情報をお届けします。
白内障とは何か…水晶体の役割から理解する
まず、白内障の本質を正確に理解しておきましょう。
目の中には「水晶体」と呼ばれる透明なレンズがあります。カメラのレンズと同じ役割を果たし、外から入ってきた光を網膜に届けるために焦点を調整しています。健康な水晶体は透明で、光をきれいに通します。
白内障は、この水晶体が何らかの原因で濁ってしまう病気です。濁ったレンズを通すと、光が散乱したり、届く光の量が減ったりします。その結果、視界がかすんだり、まぶしさを強く感じたり、色の見え方が変わったりするのです。
原因としては加齢が最も多く、「老人性白内障」とも呼ばれます。早い方では40歳代から症状が始まり、80歳以上ではほぼ100%の方に何らかの白内障が見られます。

加齢以外にも、糖尿病・アトピー・ステロイド薬の使用・目のケガなどが原因となることがあります。白内障は「高齢者だけの病気」ではない点を、ぜひ覚えておいてください。
なぜ青や白がくすんで見えるのか…水晶体変色のメカニズム
白内障で最も特徴的な色覚変化が、青色・白色のくすみです。
なぜこの2色が特に影響を受けるのか。そのメカニズムを順を追って解説します。
水晶体タンパク質の黄変・褐変
水晶体は主にタンパク質でできています。加齢とともに、このタンパク質が変性して白く濁り始めます。さらに進行すると、黄色から褐色へと変色していきます。
黄色や茶色に変色したレンズを通して見ると、どうなるでしょうか。黄色いサングラスをかけているような状態を想像してみてください。青色は黄色と補色の関係にあるため、黄変したレンズを通すと青が打ち消されてくすんで見えるのです。白色も同様に、黄みがかって見えたり、くすんだりします。
青を感じる錐体細胞の劣化
もう一つの重要な要因があります。
網膜には「錐体」と呼ばれる色を感じる細胞が3種類あります。赤を感じるL錐体、緑を感じるM錐体、青を感じるS錐体です。この3種類の錐体が連携して色を認識しています。
加齢によってこれらの錐体も劣化しますが、青を感じるS錐体は他の錐体より数が少なく、劣化の影響を受けやすいとされています。錐体の数は赤が最も多く、緑、青の順に少なくなります。青の錐体が劣化すると3色のバランスが崩れ、黄色が浮いて見えるようになります。
水晶体の黄変と錐体の劣化、この2つの要因が重なることで、青や白のくすみはより強く現れるのです。

「白が白に見えない」不思議な現象
白内障の中期ごろになると、白い紙や壁が黄みがかって見えることがあります。しかし、興味深いことに、多くの患者さんは「紙の色は白だ」と答えます。
これは、長年の経験から「紙は白いもの」というイメージが脳内にあり、実際の色の変化を補正してしまうためと考えられています。つまり、色覚の変化に自分自身が気づきにくいという落とし穴があるのです。
「気づかないうちに進んでいる」——これが白内障の色覚変化の怖いところです。
進行段階ごとの色の見え方の変化
白内障は一度に症状が現れるわけではありません。段階を追って、色の見え方が変化していきます。
初期段階…ほとんど気づかない微妙な変化
初期の白内障では、水晶体の濁りはごくわずかです。色の変化もほとんど感じられません。「なんとなく視界がかすむ気がする」程度で、日常生活に大きな支障は出ません。
ただし、夜間の運転や暗い場所での作業で、光のにじみやまぶしさを感じ始めることがあります。この段階で眼科を受診することが、早期対応につながります。
中期段階…黄みがかった視界と色の違和感
中期になると、水晶体の濁りが進み、視界全体が黄色っぽく見えるようになります。
白い紙がクリーム色に見える。青空の青が薄く感じる。こうした色の違和感が日常的に現れてきます。視力の低下も進み、小さな文字が読みにくくなったり、細かい作業がしづらくなったりします。眼鏡やコンタクトレンズでは十分に補正できなくなる場合もあります。
「最近、色がおかしい気がする」と感じたら、この段階に入っている可能性があります。
後期段階…褐色化と色の識別困難
後期になると、水晶体の濁りが黄色から褐色へと変化します。視界が全体的に暗く感じられ、色の識別が難しくなります。赤と緑の区別がつきにくくなるなど、日常生活での色彩感覚に支障をきたすことも少なくありません。
この段階では視力低下も著しく、人や物の輪郭さえぼんやりとしか見えなくなることがあります。放置すると失明リスクも高まるため、手術による治療が必要です。

色覚変化が日常生活に与える影響と事故リスク
色の見え方の変化は、単なる「不便さ」にとどまりません。
実際の生活の中で、深刻な事故につながるリスクがあります。
階段の踏み外し・転倒リスク
白内障が進行すると、常にサングラスをかけているような状態になります。明るい場所では全体的に色がかかって見えますが、暗い場所では色の変化がさらに分かりにくくなります。
例えば、少し暗い廊下や階段。一番下の段が影のように見えてしまい、境目が分かりにくくなります。「もう一段あると思ったのに…」という感覚で踏み外してしまい、転倒事故につながることがあります。高齢者の転倒は骨折や寝たきりの原因になりかねません。
「最近、階段が怖くなった」という方は、白内障の影響を疑ってみることが大切です。
着衣着火の危険性
色の識別が難しくなると、コンロの火の色が見えにくくなることがあります。ガスコンロの炎は青白い色をしていますが、白内障で青の識別が低下すると炎が見えにくくなる可能性があります。
袖口や裾がコンロの火に近づいても気づかず、着衣着火につながる危険があります。料理中の事故は、白内障の色覚変化が原因の一つとして考えられています。
運転の危険性
信号の色の識別が難しくなることも、重大な問題です。青信号と白い光の区別、夜間の対向車のヘッドライトによる強いまぶしさ——これらは交通事故に直結します。
「なんとなく運転が不安になってきた」という感覚は、決して見過ごしてはいけないサインです。
薬の誤飲・日常の細かなミス
薬の錠剤の色で種類を区別している方は多いはずです。白内障で色の識別が低下すると、薬の誤飲リスクが高まります。また、食品の色による鮮度判断や、衣服の色合わせなど、日常の細かな場面でも影響が出てきます。

白内障の色覚変化に気づくためのセルフチェック
「自分は大丈夫」と思っていても、変化は気づかないうちに進んでいます。
以下のポイントを参考に、ご自身の見え方を確認してみてください。
- 白い壁や紙が黄みがかって見える
- 青空の青が薄く感じる
- 明るい場所でまぶしさを強く感じる
- 夜間の運転で対向車のライトがにじんで見える
- 階段の段差が見えにくくなった
- 細かい文字が読みにくくなった
- 眼鏡を変えても視力が改善しない
これらの症状が1つでも当てはまる方は、早めに眼科を受診することをお勧めします。
「見え方の変化に慣れてしまうこと」が、白内障の最も怖い落とし穴です。
色覚の変化は徐々に進むため、脳が変化に適応してしまいます。「昔と比べてどうか」ではなく、定期的な眼科検診で客観的に状態を確認することが重要です。
彩度を上げると見やすくなる理由
白内障の方は、色の彩度(鮮やかさ)を上げることで識別しやすくなることが分かっています。スマートフォンやテレビの画面設定で彩度を高めると、日常生活での見えやすさが改善する場合があります。ただし、これはあくまで一時的な対処法です。根本的な治療には眼科での診察が必要です。
白内障の診断と治療…幕張久木元眼科でできること
「色がおかしい」「視界がかすむ」と感じたら、まず正確な診断を受けることが大切です。
白内障の診断方法
幕張久木元眼科では、以下の検査で白内障の状態を正確に確認します。
- 視力検査…現在の視力を測定します
- 細隙灯(さいげきとう)検査…専用のライトで水晶体の濁りの程度・部位を確認します
- 散瞳検査…必要に応じて瞳を開いて詳細に検査します
診察では「どのくらい白内障が進んでいるのか」「手術が必要な状態か」を丁寧に説明し、目の状態に合わせた治療方針をご提案します。
なお、散瞳検査後は3〜5時間ほど車の運転ができません。来院時には公共交通機関のご利用か、送迎のご協力をお願いしています。
日帰り白内障手術について
白内障の根本的な治療は手術です。濁った水晶体を取り除き、透明な人工レンズ(眼内レンズ)を挿入します。
当院では患者さんの負担を最小限にするため、日帰り手術を採用しています。手術の流れは以下の通りです。
- 角膜の端に2〜3ヶ所、小さな切開をつくる
- 濁った水晶体を超音波で砕いて吸い出す
- 透明な人工レンズ(眼内レンズ)を挿入する
現在の白内障手術は切開が2.4mm程度と非常に小さく、出血も少ない安全な治療です。麻酔の目薬でしっかり痛みを抑えるため、「思っていたより安心だった」という声を多くいただきます。
眼内レンズの選択…生活スタイルに合わせて
眼内レンズには大きく2種類あります。
- 単焦点レンズ…見え方の質(コントラスト)が最も良い。ただしピントが合う距離は1ヵ所で、眼鏡の併用が必要になることが多い
- 多焦点レンズ…複数の距離にピントが合い、眼鏡を使う頻度を減らせる。見え方の慣れやレンズ費用が課題となる場合もある
当院では、患者さんの運転頻度・読書・PC作業などの生活環境を丁寧にヒアリングし、最適なレンズ選びをサポートしています。また、保険適応の乱視矯正レンズの取り扱い実績も豊富で、「眼鏡をかけなくても快適に見える状態」を目指した治療を行っています。

まとめ…色の変化を見逃さないために
白内障による色覚の変化は、ゆっくりと、気づかないうちに進みます。
青や白がくすんで見える原因は、水晶体タンパク質の黄変・褐変と、青を感じる錐体細胞の劣化という2つのメカニズムによるものです。この変化は、階段の踏み外しや着衣着火、運転中の事故など、深刻なリスクにつながる可能性があります。
「最近、色がおかしい気がする」「視界がかすむ」「まぶしさが強くなった」——そんな変化を感じたら、ぜひ早めに眼科を受診してください。
幕張久木元眼科では、正確な診断から日帰り手術・術後ケアまで、一貫した白内障治療を提供しています。千葉市エリアで白内障が心配な方は、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの目の状態をしっかり確認し、最適な治療タイミングやレンズ選びを丁寧にご案内します。見えにくさを我慢して生活する必要はありません。
▶ 幕張久木元眼科への受診・ご相談はこちらからどうぞ。
著者情報
幕張久⽊元眼科 院⻑ 久⽊元延⾏

経歴
獨協医科大学 医学部医学科卒業
東京医科歯科大学病院 臨床研修医
東京医科歯科大学 眼科学講座 入局
東京都立広尾病院 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
東京都立多摩総合医療センター 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
– 白内障・屈折矯正外来 主任
– 糖尿病網膜症専門外来
– 医療安全管理リスクマネージャー
幕張久木元眼科開院
【資格】
日本眼科学会認定眼科専門医
水晶体嚢拡張リング認定医
難病指定医
ボトックス認定医(眼瞼痙攣、斜視)
光線力学療法認定医
【所属学会】
日本眼科学会
日本眼手術学会
日本白内障屈折矯正学会
日本網膜硝子体学会
日本糖尿病眼学会


