オルソケラトロジーのメリットとデメリットを眼科医が解説
- 2026年1月17日
- 白内障
「日中はメガネやコンタクトレンズなしで過ごしたい」「子どもの近視進行を抑えたい」・・・そんな願いを持つ方に注目されているのが、オルソケラトロジーです。
夜寝ている間に特殊なコンタクトレンズを装用することで、日中は裸眼で快適に過ごせるようになります。
手術が不要で、レンズの使用を中止すれば元に戻る可逆性のある治療法として、お子さまから成人の方まで幅広い年齢層で選ばれています。
しかし、オルソケラトロジーにはメリットだけでなく、デメリットやリスクも存在します。治療を検討する際には、両面をしっかりと理解することが大切です。
オルソケラトロジーとは
オルソケラトロジーは、角膜矯正用ハードコンタクトレンズを就寝時に装用する近視治療法です。
レンズが角膜の形状を一時的に変化させることで、起床後にレンズを外しても視力が回復した状態を維持できます。日中は裸眼で過ごせるため、メガネやコンタクトレンズのわずらわしさから解放されます。
角膜は柔らかい組織のため、就寝中にレンズで圧迫すると、翌朝外してもしばらく圧迫された形状が維持されます。低反発枕のようなイメージです。
レーシックのような外科的手術とは異なり、装用を中止すれば角膜形状とともに視力も元の状態に戻る可逆性を持つ点が特徴です。

治療の仕組み
オルソケラトロジーは、夜間のレンズ装用によって角膜中央部を緩やかに平坦化します。
起床後に視力が回復した状態を一定時間維持するため、日中に視力矯正用の眼鏡やコンタクトレンズを必要としません。
治療効果は個人差がありますが、多くの場合、装用開始から1週間から2週間程度で視力が安定してきます。初期段階では見えたり見えなかったりする期間がありますが、継続することで徐々に安定していきます。
適応年齢と対象
オルソケラトロジーの適応年齢は6歳から65歳前後と幅広く、お子さまでも受けることができます。
通常のコンタクトレンズとは異なり日中はレンズを装用する必要がないため、レンズケアを保護者が管理できれば、小学校低学年のお子さまでも治療を行うことが可能です。
特にお子さまの場合、角膜が大人よりも柔らかいため、オルソケラトロジーによる矯正効果が一層高くなります。
オルソケラトロジーのメリット
オルソケラトロジーには、他の視力矯正方法にはない多くの利点があります。
日常生活の快適さから、お子さまの近視進行抑制まで、幅広いメリットが期待できます。
手術が不要で可逆性がある
レーシックやICLのような外科的手術は必要ありません。
就寝時にコンタクトレンズを装用する方法なので、治療に対してのハードルも低くなります。治療を中止すれば1ヶ月ほどで角膜が元の状態に戻るという点も、手術のリスクが気になる方にとっては大きなメリットです。
「裸眼でよく見えるようになりたい」と思っても、手術には抵抗があるという方は多いでしょう。オルソケラトロジーなら、そのような不安を感じることなく視力矯正を始められます。
日中は裸眼で快適に過ごせる
朝起きてレンズを外せば、近視や乱視が矯正されているため、日中は裸眼で過ごすことができます。
メガネを何度も取ったり装着したりする手間や、通常のコンタクトレンズによるドライアイや目のゴロつきから解放されます。毎日のようにメガネや日中のコンタクトレンズを使っている方にとって、大きなメリットとなるでしょう。
特に、水泳や屋外スポーツをする方にとっては、視力を気にせず集中できる点が魅力的です。激しいスポーツや水中スポーツでも安心して活動できます。
近視進行抑制効果が期待できる
オルソケラトロジーは、治療の継続により、お子さまの近視進行を抑制する効果が期待されています。
現在ある近視の矯正を行いつつ、近視の進行抑制も期待できる治療法です。スマホやタブレットなどの端末の普及を背景に、近年ではお子さまの近視が年々増加傾向にあり、社会問題となっています。
20歳以下のお子さまの場合、近視進行抑制の効果にも期待できます。近視は目の長さが増加することによって進行しますが、一旦伸びた目の長さは戻りにくく、強い近視は後に目の病気や視力低下の原因を引き起こす可能性があります。
そのため、早い段階からの予防が大切です。今後ますますデジタル化が進む環境において、お子さまの近視が懸念されることに対し、オルソケラトロジーのメリットは大きいといえるでしょう。
幅広い年齢層で利用可能
適応年齢が6歳以上であるため、小学校低学年のお子さまでも受けられる視力回復治療です。
お子さまから成人の方まで、幅広い年齢層で検討される治療法となっています。特にお子さまの場合、角膜が柔らかいため、すぐに近視矯正効果が出やすく、日中裸眼で快適に過ごせる時間が長くなります。
オルソケラトロジーのデメリット
手術の必要がなく、裸眼で良好な視力を得られるなどメリットの多いオルソケラトロジーですが、一方でデメリットも存在します。
治療を検討されている方は、メリットだけでなく、デメリットについてもよく理解することが重要です。
毎日のレンズ装用とケアが必要
オルソケラトロジーによる矯正時間には個人差がありますが、数日続くことはないため、毎日就寝時に装用していただく必要があります。
通常のハードコンタクトレンズと同様に毎日のレンズケアが必要です。レンズの衛生管理を怠ると、角膜感染症などのリスクが高まります。
正しい使用方法と適切なケアが非常に重要です。当院では、レンズの衛生管理や装用方法について丁寧に指導し、リスクを最小限に抑えるよう努めています。
効果が現れるまでに時間がかかる
装用後、数日間は見えたり見えなかったりします。
個人差はありますが、1週間から2週間程度装用していただくことで、徐々に見え方が安定していきます。視力の安定までに時間がかかることは、デメリットの一つといえるでしょう。
即座に視力が安定するわけではないため、治療開始直後は不便を感じる可能性があります。
屈折矯正量に上限がある
ガイドラインでは近視は-4.0D、乱視は-1.5Dまでが原則とされており、強度近視や強度乱視の方は適応外となります。
近視や乱視の度合い、角膜の形状、既往歴などにより、適応外となる場合があります。すべての方に適応となる治療法ではない点は、デメリットといえるでしょう。
当院では、眼科医による詳細な検査と説明を行ったうえで、患者さま一人ひとりに適した治療方法を提案しています。
定期検診が必須
オルソケラトロジーは医師の管理下で行う医療行為であり、適切な検査と継続的なフォローが不可欠です。
定期検診が必須であり、定期的に通院していただく必要があります。当院では、初期検査から装用開始後の定期検診まで一貫した管理を行い、角膜の状態や視力の変化を慎重に確認します。
定期的な検査を必ずお願いします。誤った使用や適切なケアを怠ると、問題が発生することがあります。
ハロー・グレア現象が起こる可能性
過度な矯正をすることによって、光をまぶしく感じる現象(ハロー・グレア)を自覚することがあります。
特に夜間の運転時などに、光が滲んで見えたり、まぶしく感じたりする場合があります。多くの場合、治療を継続することで徐々に慣れていきますが、気になる場合は医師にご相談ください。
一定の睡眠時間が必要
レンズをつける時間が短いと、治療の効果を最大限に引き出せません。
最低でも6時間の睡眠をとることがおすすめです。十分な睡眠時間が確保できない方には、向いていない治療法といえるでしょう。
出典医療法人社団慎進会「オルソケラトロジーのメリット・デメリット|効果やリスクも解説」(2025年7月更新)より作成
オルソケラトロジーが向いている人・向いていない人
オルソケラトロジーは多くの人にとって効果的な近視や乱視の矯正方法ですが、一部の方には適さないケースもあります。
自分に適しているかどうかを検討する際の参考にしてください。
オルソケラトロジーが向いている人
以下のような方には、オルソケラトロジーが適している可能性が高いです。
- 眼鏡・コンタクトレンズを装着せずに裸眼で生活をしたい方
- レンズのケアができる方
- 十分な睡眠時間が確保できる方(6時間以上)
- 近視の進行が気になるお子さま
- レーシックなどの屈折矯正手術に抵抗がある方
- 弱い〜中くらい(-4Dくらい)近視で、6歳以上の方
- 定期的に検査に行ける方
日中に視力矯正用の眼鏡やコンタクトレンズを必要としない点が大きな利点です。特に、スポーツや屋外活動を楽しみたい方、お子さまの近視進行を抑えたい保護者の方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
オルソケラトロジーが向いていない人
以下のような方には、オルソケラトロジーは適さない可能性があります。
- 強度近視・強度乱視の方
- ドライアイ・アレルギー症状が強い方
- レンズのケアが難しい方
- 定期的な通院が難しい方
- 過去にレーシックなどの屈折矯正手術を受けたことがある方
- 視力の条件が設定されている職業(パイロットや競艇選手など)
適応外となる場合もあるため、まずは眼科医による詳細な検査を受けることが大切です。当院では、トライアルレンズの貸出制度を設けており、実際の装用感を確認してから治療を検討していただけます。
オルソケラトロジーとレーシックの違い
「裸眼で生活したい」という目的は同じでも、オルソケラトロジーとレーシックは全く異なる治療法です。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選択することが重要です。
可逆性の有無
オルソケラトロジーは、装用を中止すれば角膜形状は元に戻る可逆性を持つ治療法です。
一方、レーシックは角膜の一部を削る外科的手術であり、一度削った角膜は元に戻りません。この点が、両者の最も大きな違いといえるでしょう。
「手術に不安がある」「将来的に元に戻せる選択肢を残しておきたい」という方には、オルソケラトロジーが適しています。
治療方法の違い
オルソケラトロジーは、夜間に特殊なコンタクトレンズを装用することで角膜形状を変化させます。
レーシックは、レーザーで角膜を削ることで視力を矯正します。オルソケラトロジーは毎日のレンズ装用が必要ですが、レーシックは一度の手術で視力矯正が完了します。
適応年齢の違い
オルソケラトロジーは6歳以上から適応可能ですが、レーシックは一般的に18歳以上が対象となります。
お子さまの近視治療を検討する場合、オルソケラトロジーが選択肢となります。また、オルソケラトロジーには近視進行抑制効果が期待できる点も、お子さまにとって大きなメリットです。
オルソケラトロジーの費用について
オルソケラトロジーは自由診療のため、費用はクリニックによって異なります。
治療を検討する際には、初期費用だけでなく、維持費用も含めた総合的なコストを考慮することが大切です。
初期費用
オルソケラトロジーの治療には、初期費用として16万円から20万円程度がかかります。
これには、レンズ代、初回の適応検査、取り扱い指導(装着方法、ケア方法など)、1年間の定期検診費用が含まれます。ただし、クリニックによっては定期検診費用が別途必要な場合もありますので、事前に確認が必要です。
維持費用
オルソケラトロジーのレンズは長期間使用できますが、数年ごとに交換が必要になることがあります。
一般的には2年から3年に一度の交換が推奨されており、その場合の費用は約6万円から10万円程度です。また、ケア用品(洗浄液や保存液など)が毎月2,000円から3,000円程度かかるため、年間で24,000円から36,000円の維持費が発生します。
医療費控除の対象
オルソケラトロジーは医療費控除の対象になります。
国税庁の公式サイトにも、オルソケラトロジーが医療費控除の対象であることが明記されています。1年間に支払った医療費が10万円(または総所得の5%)を超えた場合に、確定申告を行うことで税金が還付される制度です。
例えば、年間の医療費が16万円だった場合、控除対象額は(16万円 – 10万円)× 所得税率(例:20%)= 1万2,000円となります。住民税も10%控除されるため、合計で1万8,000円が戻ってくる可能性があります。
幕張久木元眼科のオルソケラトロジー治療
幕張久木元眼科では、近視治療の選択肢の一つとしてオルソケラトロジーを導入しています。
患者さま一人ひとりに適した治療方法を提案し、安全性を重視した診療体制を整えています。
使用レンズについて
当院では、米国FDAおよび欧州CEマークの認可を受けた「マイエメラルド(Emerald™)」レンズを採用しています。
日本人の角膜形状を考慮した設計で、国内外で長年の使用実績があり、大学病院での臨床試験を経て安全性・有効性が確認されています。高酸素透過性素材を使用しており、角膜への負担軽減にも配慮したレンズです。
安全性を重視した診療体制
オルソケラトロジーは医師の管理下で行う医療行為であり、適切な検査と継続的なフォローが不可欠です。
当院では、初期検査から装用開始後の定期検診まで一貫した管理を行い、角膜の状態や視力の変化を慎重に確認します。また、レンズの衛生管理や装用方法についても丁寧に指導し、角膜感染症などのリスクを最小限に抑えるよう努めています。
トライアル制度の導入
「実際の装用感を確認してから治療を検討したい」という方のために、トライアルレンズの貸出制度を設けています。
一定期間の試用を通じて、見え方や装用時の違和感を確認したうえで、本治療への移行を判断していただけます。無理に勧められることはなく、疑問や不安にも一つひとつ答えてもらえる体制を整えています。
適応判断について
オルソケラトロジーはすべての方に適応となる治療法ではありません。
近視や乱視の度合い、角膜の形状、既往歴などにより、適応外となる場合もあります。当院では、年齢・近視度数・角膜形状などを総合的に評価した上で適応を判断しています。
眼科医による詳細な検査と説明を行ったうえで、患者さま一人ひとりに適した治療方法を提案しています。近視治療についてお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
オルソケラトロジーは、夜間に特殊なコンタクトレンズを装用することで、日中は裸眼で快適に過ごせる近視治療法です。
手術が不要で可逆性があり、お子さまの近視進行抑制効果も期待できる点が大きなメリットです。一方で、毎日のレンズ装用とケアが必要であり、効果が現れるまでに時間がかかるなどのデメリットも存在します。
治療を検討する際には、メリットとデメリットの両面をしっかりと理解し、自分に合った方法かどうかを慎重に判断することが大切です。
幕張久木元眼科では、安全性を重視した診療体制と、実績ある高品質レンズの採用を通じて、患者さまのライフスタイルに配慮した近視治療を提供しています。トライアル制度もご用意していますので、まずはお気軽にご相談ください。
日中の裸眼生活を目指す方、お子さまの近視進行が気になる方は、ぜひ一度オルソケラトロジーについて眼科医にご相談ください。
著者情報
幕張久木元眼科 院長 久木元 延行

経歴
獨協医科大学 医学部医学科卒業
東京医科歯科大学病院 臨床研修医
東京医科歯科大学 眼科学講座 入局
東京都立広尾病院 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
東京都立多摩総合医療センター 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
– 白内障・屈折矯正外来 主任
– 糖尿病網膜症専門外来
– 医療安全管理リスクマネージャー
幕張久木元眼科開院
資格
日本眼科学会認定眼科専門医
水晶体嚢拡張リング認定医
難病指定医
ボトックス認定医(眼瞼痙攣、斜視)
光線力学療法認定医
所属学会
日本眼科学会
日本眼手術学会
日本白内障屈折矯正学会
日本網膜硝子体学会
日本糖尿病眼学会


