白内障かも?見逃しやすい初期症状とセルフチェック項目を眼科医が解説
- 2025年12月11日
- 白内障

白内障の初期症状・・・「年のせい」と見過ごしていませんか?
「最近、なんだか視界がかすむ気がする」
「夕方になると、テレビの字幕が見えにくくなってきた」
こんな症状を感じながらも、「年齢のせいだろう」と見過ごしていませんか?実は、これらは白内障の初期症状かもしれません。白内障は、目の中にある「水晶体」というレンズが濁ってしまう病気です。カメラのレンズが曇ってしまうと、きれいな写真が撮れないように、水晶体が濁ると視界がぼやけたり、まぶしく感じたりします。
白内障は加齢とともに誰にでも起こりうる病気で、60代では約7割、70代では約9割の方に何らかの白内障の所見が認められます。しかし、初期段階では症状が非常に微妙なため、多くの方が気づかないまま進行してしまうのです。
この記事では、白内障専門医として数多くの患者さんを診てきた経験から、見逃しやすい初期症状とセルフチェックの方法を詳しく解説します。早期発見が、より良い治療選択につながります。
白内障とは?・・・目の中で何が起きているのか
白内障は、目の中にある「水晶体」が白く濁ってしまう病気です。
水晶体は、外からの光を集めてピントを合わせる役割を担っています。本来は透明な組織ですが、加齢や紫外線の影響などで、水晶体に含まれるタンパク質が変性し、白く濁ってしまうのです。この濁りによって、光がまっすぐ網膜に届かなくなり、さまざまな視覚症状が現れます。
白内障の主な原因は加齢ですが、早い方では40代から発症することもあります。50代では約半数以上、80代以上ではほぼ100%の方に白内障の症状が認められるというデータがあります。つまり、長生きすれば誰もが経験する可能性が高い目の病気なのです。
また、加齢以外にも、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの全身疾患、外傷、紫外線の長期曝露、ステロイド薬の長期使用なども原因となることがあります。

千葉県で白内障手術を検討する方へ|白内障の基礎知識と医療機関の選び方ガイド
白内障の基礎知識から、千葉県で手術先を選ぶ際に押さえておきたいポイントまでを眼科医がわかりやすく解説します。安心して治療を受けたい方に役立つ内容です。
白内障の進行パターン
白内障は、水晶体の周辺部から濁りはじめ、徐々に中心に向かって進行するのが一般的です。
このため、初期段階では中心部分はまだ透明で、視力への影響が少ないことが多いのです。しかし、濁りが中央に広がってくると、視力低下やかすみなどの症状が顕著になってきます。進行は非常にゆっくりで、数年から十数年かけて進むため、変化に気づきにくいという特徴があります。
見逃しやすい白内障の初期症状・・・10のチェックポイント

白内障の初期症状は、「疲れ目」や「老眼」と勘違いされやすいものばかりです。
以下の症状に2つ以上当てはまる場合は、白内障の可能性を疑って、眼科を受診することをおすすめします。
1. 視界がかすむ・ぼやける
白内障の最も一般的な初期症状です。まるで曇りガラスを通して世界を見ているような感覚で、特に朝起きた時や長時間目を使った後に症状が強くなることがあります。この症状は徐々に進行するため、気づいた時にはかなり視力が低下していることもあります。
2. まぶしさを強く感じる
水晶体が濁ると光が散乱しやすくなり、まぶしさを強く感じるようになります。
特に晴れた日の屋外や、夜間の対向車のヘッドライトに対して異常なまぶしさを感じることがあります。日中の運転や屋外活動が困難になることもあるため、生活の質に大きく影響します。
3. 夕方になると見えにくく感じる
昼間は問題なく見えるのに、夕方になると急に見えにくくなる・・・これも白内障の初期症状の一つです。瞳孔が開く暗い環境では、濁った部分を通る光が増えるため、症状が顕著になります。
4. 光に敏感になった気がする
蛍光灯やLEDの光が以前よりまぶしく感じたり、光がにじんで見えたりする場合は要注意です。水晶体の濁りによる光の散乱が原因で、夜間の月や街灯などの明るい光源を見たときに特に顕著になります。
5. 老眼鏡が合わなくなってきた

白内障の一種である核白内障では、水晶体の屈折率が変化して一時的に近視が進行することがあります。長年使っていた老眼鏡が合わなくなったり、老眼だった人が突然近くが見えるようになったりする「第二の視力」と呼ばれる現象が起きることもあります。しかし、これは白内障の進行のサインであり、一時的なものです。
6. 色の見え方が変わる
白内障が進行すると、水晶体が黄色や茶色に変色することがあり、色の見え方に影響します。
特に青や紫などの寒色系の色が識別しにくくなり、全体的に黄色や茶色がかって見えるようになります。この変化は徐々に起こるため自覚しにくいですが、片目ずつ見比べると左右で色の見え方が違うことに気づくことがあります。
7. 物が二重・三重に見える
一つの目で見ているのに物が二重や三重に見える「単眼複視」という症状が現れることがあります。これは、水晶体の濁りが不均一になることで光が複数の方向に屈折するために起こります。特に夜間、月を片目で見たときに二重に見える場合は、白内障の可能性を考えてみましょう。
8. 眼鏡をあわせたのに3年以内に合わなくなった
視力の低下などから眼鏡を変えたものの、眼鏡による矯正がうまくいかない場合があります。
白内障は水晶体の濁りにより症状が発生するため、眼鏡による矯正では改善されません。眼鏡を変えてもすぐに合わなくなったという場合は、白内障が疑われます。
9. 新聞を読んでいると疲れる
水晶体が濁ってしまうとピント調節機能がうまく働かなくなります。それでもピントを合わせようとする働き自体は行われているため、水晶体まわりの筋肉に負担がかかり、その結果、目が疲れやすくなります。
10. 天気によって見えにくく感じる日がある
晴れの日と曇りの日、夜間で見えかたが違うことも白内障の特徴です。明るい環境では瞳孔が小さくなり、濁っていない部分を通る光が多くなるため比較的よく見えますが、暗い環境では瞳孔が開き、濁った部分を通る光が増えるため見えにくくなります。
セルフチェック・・・今すぐできる白内障の確認方法

ご自身で簡単にできるチェック項目を紹介します。
以下の項目に2つ以上該当する場合は、眼科受診をおすすめします。
- 昼間より夕方の方が見えにくい
- 明るい場所でまぶしさを感じる
- 物がぼやけて二重に見えることがある
- メガネやコンタクトを新しくしても視力が改善しない
- 近くは見えるのに遠くが急に見えなくなった
- 最近、新聞やスマートフォンの文字が読みづらくなった
- 離れた人の顔がよくわからない
- 天気の良い日にはまぶしくて困ることが多い
- 視界がかすんで鬱陶しい
- 視力が低下してきたので、自動車の運転に不安を感じる時がよくある
特に、50歳以上の方は白内障の発症リスクが高まります。
定期的に目の状態をチェックし、以前と比べ違和感がないか確認してください。白内障は進行が緩やかなため、ある程度進行しないと自覚症状に気づきにくいという側面もあります。こまめなセルフチェックが早期発見につながります。
片目ずつチェックする重要性
白内障は片目ずつ発症するタイミングが違う場合と、両目ともに進行する場合があります。
片目のみの場合、左右の差による違和感が自覚症状として現れることも多いです。遠くの景色を見たときに左右の目で見え方に違いはないか、片目ずつ確認してみてください。左右で色の見え方が違う場合も、白内障の可能性があります。

白内障を放置するとおこる問題とは|進行・合併症・失明リスクと治療のタイミングを解説
白内障を放置した場合に起こり得る進行のリスク、合併症、最悪の場合の失明リスクまでを眼科医が詳しく解説。治療を始めるべき適切なタイミングもわかります。
白内障を放置するとどうなる?・・・進行のリスク
白内障は自然に治ることはなく、濁ってしまった水晶体を透明に戻すお薬もありません。
進行すると視力が大きく低下し、日常生活に支障をきたすようになります。具体的には、以下のようなリスクが増大します。
日常生活への影響
視力低下により、新聞や本が読めなくなったり、テレビの字幕が見えなくなったりします。階段の上り下りで距離感がつかめず、転倒のリスクも高まります。料理や家事など、細かい作業が困難になることもあります。
運転の危険性
夜間の対向車のヘッドライトがまぶしく感じたり、信号や標識が見えにくくなったりすることで、交通事故のリスクが高まります。実際、自動車免許の更新ができなかったという方も少なくありません。視力が低下してきたと感じたら、早めに眼科を受診し、運転の可否について相談することが大切です。
手術のリスク増加
白内障が進行しすぎると、手術自体のリスクも高くなります。
水晶体が硬くなりすぎると、手術時間が長くなったり、合併症のリスクが上がったりします。また、レンズの選択肢も限られてきます。適切なタイミングで手術を受けることが、より良い結果につながります。
幕張久木元眼科での白内障診断・・・正確な検査と丁寧な説明
当院では、白内障の診断において以下の検査を行い、正確に状態を判断します。
視力検査
裸眼視力と矯正視力を測定し、現在の見え方を確認します。眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が改善しない場合は、白内障の可能性が高くなります。
細隙灯検査
細隙灯(さいげきとう)というライトを使った検査で、水晶体の濁りの程度や場所を詳しく観察します。この検査により、白内障のタイプや進行度を正確に診断することができます。
散瞳検査
必要に応じて、瞳孔を開く目薬を使用し、水晶体の奥まで詳しく観察します。
散瞳検査後は3〜5時間ほど車の運転ができませんので、来院時には公共交通機関をご利用いただくか、送迎のご協力をお願いしています。
診察では、「どのくらい白内障が進んでいるのか」「手術が必要な状態か」を、図や例を使いながらわかりやすい言葉で丁寧にお伝えします。「病院の説明が難しくてよくわからなかった」という経験がある方も、当院なら安心して相談できます。
白内障の治療・・・日帰り手術から術後ケアまで
白内障の治療は、進行度に応じて選択します。
初期段階の対応
白内障の初期段階で、日常生活にほとんど支障がない場合は、経過観察を行います。進行を遅らせる目的で点眼薬を使用することもありますが、濁った水晶体を透明に戻すことはできません。定期的に検査を受け、進行状況を確認することが大切です。
日帰り白内障手術

当院では、患者さんの負担を最小限にするため日帰り手術を採用しています。
手術の流れは、角膜の端に2〜3ヶ所、小さな切開をつくり、濁った水晶体を超音波で砕いて吸い出し、透明な人工レンズ(眼内レンズ)を挿入します。現在の白内障手術は切開が2.4mm程度と非常に小さく、出血も少ない安全な治療です。痛みも麻酔の目薬でしっかり抑えるため、「思っていたより安心だった」という声を多くいただきます。
眼内レンズの選択
白内障手術で入れるレンズ(眼内レンズ)は、患者さんの生活スタイル・見え方の希望に合わせて選びます。
単焦点レンズは、最も見え方の質(コントラスト)が良いですが、ピントが合う距離は1ヵ所で、眼鏡の併用が必要になることが多いです。多焦点レンズは、複数の距離にピントが合い、眼鏡を使う頻度を減らせますが、見え方の慣れやレンズ費用が課題となります。
当院では、患者様ごとの生活環境(運転頻度・読書・PC作業など)を丁寧にヒアリングし、最適なレンズ選びをサポートしています。また、保険適応の乱視矯正レンズの取り扱い実績も豊富で、「眼鏡をかけなくても快適に見える状態」を目指した治療を行っています。
手術前後のサポート
初めての白内障手術は、わからないことだらけで不安になるものです。
当院では、「当日はどうすればいい?」「お化粧はいつからできるの?」「仕事はどのくらいで復帰できる?」など、患者さんが気になるポイントを事前にわかりやすくご説明します。手術前日は普段どおりでOKですが、当日は軽い食事、洗顔はしっかり、お化粧・アイメイクなし、前ボタンの洋服で来院していただきます。
術後は、翌日から家事や軽い仕事はOKですが、汗をかく運動・力仕事は1週間避けていただきます。運転も1週間控えていただく必要があります。指示どおりの点眼で感染を予防し、触らない・こすらないよう注意が必要です。気になる症状があればすぐにご連絡ください。
まとめ・・・早期発見が明るい未来への第一歩
白内障は、誰にでも起こりうる目の病気です。
しかし、初期症状を見逃さず、早期に発見することで、より良い治療選択が可能になります。「最近視界がかすむ」「まぶしさが強くなった」「運転が不安になってきた」このような症状がある方は、一度受診をおすすめします。
幕張久木元眼科は、白内障の正確な診断、日帰り手術の実施、乱視矯正レンズの豊富な経験、術後ケアの手厚さを大切にしている、地域密着型の白内障治療クリニックです。あなたの目の状態をしっかり確認し、最適な治療タイミングやレンズ選びを丁寧にご案内します。
見えにくさを我慢して生活する必要はありません。少しでも「おかしいな」と感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの生活が、もう一度明るくクリアに戻るように。私たちが寄り添い、しっかりサポートいたします。
幕張久木元眼科
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千葉市エリアで白内障治療をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
著者情報
幕張久木元眼科 院長 久木元 延行

経歴
獨協医科大学 医学部医学科卒業
東京医科歯科大学病院 臨床研修医
東京医科歯科大学 眼科学講座 入局
東京都立広尾病院 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
東京都立多摩総合医療センター 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
– 白内障・屈折矯正外来 主任
– 糖尿病網膜症専門外来
– 医療安全管理リスクマネージャー
幕張久木元眼科開院
資格
日本眼科学会認定眼科専門医
水晶体嚢拡張リング認定医
難病指定医
ボトックス認定医(眼瞼痙攣、斜視)
光線力学療法認定医
所属学会
日本眼科学会
日本眼手術学会
日本白内障屈折矯正学会
日本網膜硝子体学会
日本糖尿病眼学会


