白内障手術と多焦点レンズの選び方|メリットとデメリット完全解説|幕張久木元眼科|千葉県千葉市の白内障手術、緑内障、糖尿病網膜症

〒261-8535 千葉県千葉市美浜区豊砂1-1
イオンモール幕張新都心グランドモール1階
Tel.043-301-3441
ヘッダー画像

医療コラム

白内障手術と多焦点レンズの選び方|メリットとデメリット完全解説|幕張久木元眼科|千葉県千葉市の白内障手術、緑内障、糖尿病網膜症

白内障手術と多焦点レンズの選び方|メリットとデメリット完全解説

白内障手術と多焦点レンズとは?基本を理解しましょう

白内障は加齢とともに水晶体が濁り、視界がぼやけたり、かすんだりする症状が現れる眼の病気です。治療法は手術しかなく、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入します。

この眼内レンズには大きく分けて「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」の2種類があります。単焦点レンズは一点にしか焦点が合わないため、遠くを見るか近くを見るか、どちらかに特化したレンズになります。

一方、多焦点レンズは複数の距離にピントを合わせることができるため、術後のメガネやコンタクトレンズへの依存度を減らすことができるのです。

白内障手術は現在、日帰りで行われることが一般的で、手術時間も10〜20分程度と短時間です。局所麻酔で行われるため、痛みもほとんどありません。

手術の流れは、まず目の周りを消毒し、麻酔をかけます。その後、小さな切開を行い、超音波で水晶体を砕いて吸引除去します。最後に眼内レンズを挿入して手術は終了です。

多焦点レンズのメリット〜メガネから解放される可能性〜

多焦点レンズの最大のメリットは、遠くと近くの両方を見ることができるようになることです。これにより、日常生活でのメガネやコンタクトレンズへの依存度が大幅に減少します。

私が大学病院で白内障・屈折矯正外来の主任を務めていた時代から、多くの患者さんが「メガネなしで生活したい」という希望を持っていました。多焦点レンズはそんな患者さんの願いを叶える選択肢となっています。

具体的には、新聞やスマートフォンの操作、テレビや景色を見るといった、異なる距離での見え方が向上します。特にアクティブに過ごしたい方にとっては、メガネの煩わしさから解放されるのは大きなメリットです。

また、多焦点レンズには様々な種類があり、患者さんの生活スタイルや希望に合わせて最適なレンズを選ぶことができます。

例えば、主に遠方と近方の2箇所に焦点が合う「二焦点レンズ」、近・中間・遠の3箇所に焦点が合う「三焦点レンズ」、遠方から近方にかけてほぼすべての距離に焦点が合う「連続焦点レンズ」などがあります。

さらに、多焦点レンズの中には乱視矯正機能を持つものもあります。これにより、白内障手術と同時に乱視も矯正することができ、より快適な視界を得ることができるのです。

どうですか?メガネから解放される生活に憧れませんか?

多焦点レンズのデメリット〜知っておくべき注意点〜

多焦点レンズには素晴らしいメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。患者さんが後悔しないよう、私は常に手術前にこれらの点を詳しく説明しています。

まず最も大きなデメリットは、手術費用が高額になることです。多焦点レンズを使用した白内障手術は、単焦点レンズと比較して費用が高くなります。

これは、多焦点レンズ自体のコストが高く、自己負担額が発生するためです。手術には「自由診療」と「選定療養」の2つの制度がありますが、どちらの場合も単焦点レンズよりも費用は高くなります。

次に、見え方に慣れるまで時間がかかる点です。多焦点レンズは遠方と近方の両方をカバーする性質上、新しい見え方に脳が適応するまでに時間を要することがあります。特に細かい物を見たり本を読んだりする場合は、焦点が合うまでに時間がかかることが多いです。

また、多焦点レンズの構造上、「ハロー・グレア現象」が起こりやすいという特徴があります。ハロー・グレア現象とは、光がぼやけて見えたり、ぎらぎらと眩しく感じることです。

特に夜間の運転時は、対向車のヘッドライトや街灯の光が強烈に感じることがあるので、日常的に運転する方は注意が必要です。

さらに、コントラスト感度の低下も起こり得ます。コントラストとは映像のシャープさや、微妙な濃淡のことをいいます。多焦点レンズでは、約15%位のコントラスト感度の低下があると言われています。

黒い文字が少し薄く見える、あるいは膜がかかったように見える場合があるのです。

多焦点レンズの種類と特徴〜あなたに合ったレンズは?〜

多焦点レンズには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。2025年現在、日本で使用されている主な多焦点レンズをご紹介します。

まず、多焦点レンズは大きく「国内承認レンズ」と「国内未承認レンズ」の2種類に分けられます。国内承認レンズには「選定療養」という制度を使えるため、費用負担を抑えることができます。一方、国内未承認レンズは全額自費診療になるため、費用が高額になります。

さらに、レンズの構造によって「回折型」と「焦点深度拡張型(EDOF)」の2種類に分けられます。

回折型のレンズは遠くから近くまでピントが合いやすいですが、ハロー・グレアと言われるような光がギラギラ見える症状が出たり、色の鮮明さ(コントラスト感度)が劣る場合があります。

一方、焦点深度拡張型(EDOF)のレンズはハロー・グレアや、コントラスト感度の低下といった症状がほぼないかわりに、近方の見え方がやや弱く、手元の細かい字などを見るときに老眼鏡が必要になることがあります。

選定療養対象の国内承認レンズで回折型の代表的なものには、「テクニスオデッセイ」「テクニスシナジー」「クラレオンパンオプティクス」などがあります。これらは遠方から近方まで幅広く見える特徴がありますが、レンズによって近方の見え方の質や、ハロー・グレアなどの症状の出方に違いがあります。

焦点深度拡張型では、「クラレオンビビティ」が2023年に日本で承認され、2025年5月には乱視矯正機能を持つ「Vivityトーリック」も発売されました。これらは単焦点眼内レンズのような自然な見え方を維持しながら、遠方から中間距離(約50cmまで)の焦点を拡張できる特徴があります。

また、2025年夏には「テクニスピュアシー」という新しい焦点深度拡張型レンズの発売も予定されています。

患者さんの生活スタイルや希望に合わせて、最適なレンズを選ぶことが重要です。例えば、読書や手芸など手元での細かい作業が多い方は回折型が、夜間運転が多い方は焦点深度拡張型が向いているかもしれません。

多焦点レンズが向いている人・向いていない人

多焦点レンズは誰にでも適しているわけではありません。適切な患者さん選びが、手術後の満足度を大きく左右します。私の臨床経験から、多焦点レンズが向いている人と向いていない人の特徴をお伝えします。

まず、多焦点レンズが向いている方は、メガネやコンタクトレンズへの依存度を減らしたいという強い希望をお持ちの方です。日常生活でメガネをかけることに不便を感じている方や、アクティブなライフスタイルを送りたい方に適しています。

また、スマートフォンやパソコン作業が多い方も、多焦点レンズのメリットを実感しやすいでしょう。さらに、乱視がある方でも、乱視矯正機能付きの多焦点レンズを選べば対応可能です。

一方で、多焦点レンズが向いていない方もいます。例えば、緑内障や黄斑疾患、網膜症などの眼底疾患や円錐角膜など角膜に問題がある方は、多焦点レンズの効果が十分に発揮されない可能性があります。

また、職業がドライバーの方で特に夜間の運転が多い方は、ハロー・グレア現象が気になる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

さらに、完璧な視力を求める方や、新しい見え方に適応するのが難しい方も、多焦点レンズに不満を感じる可能性があります。

実際、日本白内障屈折矯正手術学会の調査によれば、多焦点レンズ手術後に何らかの不満を訴える患者さんは約3.9%、さらに摘出にまで至るケースは約1.2%あるとされています。摘出原因としては、コントラスト感度の低下、グレア・ハロー、適応不全などが挙げられています。

あなたはどのタイプに当てはまりますか?

多焦点レンズ選びのポイント〜後悔しない選択のために〜

多焦点レンズを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。私が東京医科歯科大学病院で白内障・屈折矯正外来の主任を務めていた経験から、患者さんに最適なレンズを選ぶためのポイントをお伝えします。

まず最も重要なのは、ご自身の生活スタイルや視力に関する希望を明確にすることです。日常的にどのような距離での視力が必要か、例えば読書が趣味なのか、スポーツをよくするのか、夜間の運転が多いのかなど、具体的な生活習慣を医師に伝えましょう。

次に、多焦点レンズのデメリットをしっかり理解し、受け入れられるかどうかを考えることが大切です。コントラスト感度の低下やハロー・グレア現象などの副作用は、程度の差はあれ発生する可能性があります。

また、費用面も重要な検討ポイントです。多焦点レンズは単焦点レンズと比べて高額になりますので、予算と相談しながら決めていくことが必要です。

さらに、眼の健康状態も重要な要素です。白内障以外の眼疾患がある場合は、多焦点レンズの効果が十分に発揮されない可能性があります。術前の詳細な検査で、多焦点レンズが適しているかどうかを確認することが重要です。

最後に、信頼できる眼科医を選ぶことも成功の鍵です。多焦点レンズの手術経験が豊富で、様々な種類のレンズを取り扱っている医師を選ぶことで、あなたに最適なレンズを提案してもらえる可能性が高まります。

私たち幕張久木元眼科では、患者さんの希望をよく聞き、一人ひとりにオーダーメイドの医療を提供することを大切にしています。多焦点レンズ選びでお悩みの方は、ぜひご相談ください。

まとめ〜あなたに合った白内障手術を〜

白内障手術における多焦点レンズの選択は、術後の生活の質を大きく左右する重要な決断です。メガネやコンタクトレンズへの依存度を減らし、より自由な生活を送れる可能性がある一方で、コストや副作用などのデメリットも存在します。

多焦点レンズには様々な種類があり、2025年現在も新たなレンズが次々と開発されています。回折型と焦点深度拡張型の大きく2つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。

最適なレンズ選びのためには、ご自身の生活スタイルや視力に関する希望を明確にし、多焦点レンズのメリット・デメリットをしっかり理解した上で、信頼できる眼科医と相談することが大切です。

私たち幕張久木元眼科では、「高度医療をあたたかく提供する」「自分が受けたい眼科診療」を理念に掲げ、患者さん一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドの医療サービスを提供しています。

白内障手術や多焦点レンズについてご不明な点があれば、お気軽に当院までご相談ください。あなたの目の健康と快適な視生活をサポートいたします。

詳しい情報や予約については、幕張久木元眼科の公式サイトをご覧ください。