白内障手術の保険適用ガイド|費用を抑える方法|幕張久木元眼科|千葉県千葉市の白内障手術、緑内障、糖尿病網膜症

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医療コラム

白内障手術の保険適用ガイド|費用を抑える方法|幕張久木元眼科|千葉県千葉市の白内障手術、緑内障、糖尿病網膜症

白内障手術の保険適用ガイド|費用を抑える方法

白内障手術と保険適用の基本

白内障は年齢とともに発症率が高まる目の病気です。80歳を超えると、ほぼ100%の方が何らかの白内障症状を持っているという調査結果もあります。目がかすむ、まぶしさを感じる、メガネが合わなくなったといった症状でお悩みの方は少なくありません。

白内障手術は現代の眼科医療において最も一般的な手術の一つです。手術では濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入します。この手術によって視力を回復させることができるのです。

白内障手術を検討する際に多くの患者さんが気にされるのが、費用の問題です。「保険は適用されるのか」「いくらかかるのか」という不安を抱える方は少なくありません。

実は、白内障手術の費用は使用する眼内レンズの種類によって大きく異なります。また、保険適用の有無も変わってきます。この記事では、白内障手術の保険適用の仕組みと費用を抑える方法について、眼科専門医の立場から詳しく解説します。

白内障手術の種類と費用の違い

白内障手術には、大きく分けて3つのパターンがあります。それぞれ使用する眼内レンズの種類によって費用が異なりますので、まずはその違いを理解しましょう。

眼内レンズは大きく「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」に分けられます。見え方の特性だけでなく、費用面でも大きな違いがあります。

1. 単焦点眼内レンズを用いた保険診療

単焦点眼内レンズは、一つの距離(近くか遠く)にのみピントが合うレンズです。保険診療で使用される標準的なレンズで、費用は比較的抑えられています。

保険適用の場合の自己負担額は以下のようになります。

  • 1割負担の方:片目 約15,000円 / 両目 約30,000円
  • 2割負担の方:片目 約30,000円 / 両目 約60,000円
  • 3割負担の方:片目 約45,000円 / 両目 約90,000円

単焦点レンズは保険適用なので費用負担は少なめですが、手術後も状況に応じて眼鏡が必要になる場合があります。遠くを見るためのレンズを選んだ場合は近くを見るときに、近くを見るためのレンズを選んだ場合は遠くを見るときに、それぞれ眼鏡が必要になるでしょう。

2. 多焦点眼内レンズを用いた選定療養

多焦点眼内レンズは、遠近両方の距離にピントを合わせることができるレンズです。2020年4月からは「選定療養」という制度が導入され、手術費用の一部に保険が適用されるようになりました。

選定療養とは、患者さんが追加費用を負担することで、保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる医療制度です。

費用の目安は以下のようになります。

  • 手術代:約45,000円(3割負担の場合)
  • レンズ代:約300,000円(自費)
  • 合計:約345,000円(片目)

多焦点レンズは遠近両用なので、日常生活での眼鏡依存度が低くなるメリットがあります。ただし、単焦点レンズと比べると見え方の鮮明さが若干劣ることや、光がにじんで見える「グレア」や光の周りに輪っかが見える「ハロー」といった現象が生じる場合があります。

3. 多焦点眼内レンズを用いた自由診療

選定療養を導入していない医療機関では、多焦点眼内レンズを用いた手術は完全な自由診療(保険適用外)となります。この場合、手術費用もレンズ代も全額自己負担となります。

費用の目安は以下のようになります。

  • 片目:約50万円~100万円
  • 両目:約100万円~200万円

自由診療の場合、高額療養費制度は適用されませんが、医療費控除の対象にはなります。

高額療養費制度を活用して負担を軽減する

検査機器

白内障手術を受ける際に知っておきたいのが「高額療養費制度」です。この制度は、医療費の自己負担額が一定の限度を超えた場合に、その超えた分が払い戻される仕組みです。

年齢・所得による自己負担限度額

高額療養費制度における自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。2025年10月現在の自己負担限度額は以下のようになっています。

70歳以上の方の場合

  • 1割負担の方 → 8,000円/月が上限
  • 2割負担の方 → 18,000円/月が上限
  • 3割負担の方 → 81,000円+αが上限

70歳未満の方の場合

  • 年収370万~770万円の方 → 90,000円が上限
  • 年収770万円以上の方 → 252,600円+αが上限

同月手術のメリット

白内障は両目に発症することが多いため、多くの方が両目の手術を検討されます。ここで重要なポイントは、同じ月に両目の手術を受けることです。

なぜなら、高額療養費制度は月単位で計算されるため、同じ月に両目の手術を受けると、自己負担限度額を一度だけ支払えば済みます。例えば、70歳以上で1割負担の方なら、両目の手術を同じ月に受ければ、8,000円で済む可能性があるのです。

一方、月をまたいで手術を行うと、それぞれの月で自己負担限度額が適用されるため、合計の負担額が増えてしまいます。

両目の手術が必要な場合は、医師と相談の上、可能であれば同じ月に手術を受けることを検討しましょう。

限度額適用認定証の活用

高額療養費制度をさらに効果的に利用するには、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくことをおすすめします。これにより、窓口での支払いが自己負担限度額までで済むようになります。

限度額適用認定証は、加入している健康保険の窓口(市区町村の役所や健康保険組合など)で申請できます。手術の予定が決まったら、早めに申請しておくと安心です。

申請をしていない場合でも、いったん医療費を全額支払った後に高額療養費の申請を行うことで、限度額を超えた分が後日返金されます。

医療費控除を活用した費用負担の軽減

白内障手術の費用負担を軽減するもう一つの方法が「医療費控除」です。これは、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税の還付を受けられる制度です。

医療費控除の対象となる費用

医療費控除の対象となるのは、自分自身や家族のために支払った医療費です。白内障手術に関しては、以下のような費用が対象となります。

  • 手術費用(保険診療分の自己負担額)
  • 多焦点眼内レンズ代(選定療養や自由診療の場合)
  • 通院のための交通費
  • 入院時の差額ベッド代(一定の条件を満たす場合)

医療費控除の計算方法

医療費控除の計算式は以下のようになります。

医療費控除額 = 支払った医療費の合計 – 保険金などで補填された金額 – 10万円(または所得の5%のいずれか少ない方)

例えば、年間の医療費が50万円で、保険金などの補填がなく、所得が400万円の場合、医療費控除額は「50万円 – 0円 – 10万円 = 40万円」となります。

この40万円が課税所得から控除されるため、所得税率が10%の方であれば、40万円 × 10% = 4万円の税金が還付されることになります。

確定申告の方法と必要書類

医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。確定申告は毎年2月16日から3月15日までの期間に行います。

申告の際には、以下の書類を準備しましょう。

  • 確定申告書(医療費控除の欄に記入)
  • 医療費の明細書または医療費控除の明細書
  • 医療費の領収書(提出は不要ですが、5年間保管が必要)
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)

医療費の明細書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。また、e-Taxを利用すれば、自宅からインターネットで申告することも可能です。

民間保険の活用と給付金

マイクロスコープ

白内障手術の費用負担を軽減する方法として、民間の医療保険も活用できます。加入している医療保険によっては、手術給付金が支給される場合があります。

手術給付金の対象となる条件

白内障手術が手術給付金の対象となるかどうかは、加入している保険の約款によって異なります。多くの場合、保険会社が定める「手術給付金の支払対象となる手術」に白内障手術が含まれていれば、給付金を受け取ることができます。

給付金の額は、基本的に入院給付日額の10倍、20倍、40倍などと設定されていることが多いです。例えば、入院給付日額が5,000円で、白内障手術が20倍の対象となる場合、5,000円 × 20 = 10万円の給付金を受け取ることができます。

両目手術の注意点

両目の白内障手術を受ける場合の注意点として、保険会社によっては「同日に行った同一の手術については1回分のみ支払う」という規定がある場合があります。この場合、両目の手術を別々の日に行うことで、2回分の給付金を受け取れる可能性があります。

ただし、前述のように高額療養費制度を利用する場合は、同じ月に両目の手術を受けることでメリットがあります。どちらを優先するかは、医師と相談しながら、総合的に判断することが大切です。

まとめ:最適な白内障手術選択のために

白内障手術の費用と保険適用について、主なポイントをまとめます。

  • 単焦点眼内レンズは保険適用で、自己負担額は1~3割(約15,000円~90,000円)
  • 多焦点眼内レンズは選定療養または自由診療となり、片目30万円~100万円程度
  • 高額療養費制度を利用すれば、月の医療費負担に上限が設けられる
  • 同じ月に両目の手術を受けることで、高額療養費制度のメリットを最大化できる
  • 医療費控除を活用すれば、年間の医療費負担を軽減できる
  • 民間の医療保険からの給付金も活用できる可能性がある

白内障手術を検討する際は、視力回復の効果だけでなく、費用面も含めて総合的に判断することが大切です。自分のライフスタイルや予算に合わせて、最適な選択をしましょう。

当院では患者さん一人ひとりの状況に合わせて、最適な治療法をご提案しています。白内障でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

詳しい情報や診療予約は、幕張久木元眼科のホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。