見えにくさが招く転倒・骨折|高齢者が白内障を放置する本当のリスク
- 2026年6月16日
- 白内障

本記事は、高齢者が白内障を放置した場合に生じる転倒・骨折リスク、認知症との関係、そして手術のタイミングと選び方までを網羅的に解説します。
「最近なんとなく見えにくい」「段差でつまずくことが増えた」——そんな変化を「年のせい」と片付けていませんか? 実はその見えにくさ、白内障による視機能低下が原因かもしれません。
白内障とは何か?高齢者に多い理由は?
白内障は、目の中のレンズ(水晶体)が加齢・紫外線・糖尿病などの影響で濁っていく病気です。カメラに例えるなら、レンズ自体が曇った状態です。
発症率は年齢とともに急増します。
- 50代:約40〜50%に水晶体の濁りが見られる
- 60代:約70〜80%に症状が確認される
- 70代:約80〜90%に症状が見られる
- 80歳以上:ほぼ100%が白内障を発症しているとされる
つまり、長生きすれば誰もが向き合う病気なんです。だからこそ、「放置してもいいか」という判断が非常に重要になります。
白内障を放置すると転倒・骨折リスクはどれほど高まるのか?
白内障による視力低下は、転倒リスクを直接的に高めます。段差・障害物・距離感の把握が困難になるため、日常生活のあらゆる場面で危険が増します。
日本リハビリテーション医学会誌(2018年11月)に掲載された東京大学眼科学教室らの総説では、白内障・緑内障・加齢黄斑変性などの眼疾患が視機能障害をきたし、転倒リスクを高めることが複数の研究で示されています。転倒は高齢者の不慮の事故死の第2位の原因であり、眼疾患の予防・治療が転倒予防に直結すると指摘されています。
転倒が怖いのは、骨折との連鎖です。高齢者が転倒して大腿骨頸部骨折(股関節の骨折)を起こすと、長期入院・リハビリが必要になり、そのまま寝たきりになるケースも少なくありません。
- 視界のかすみ:床の段差・濡れた床面を見落とす
- コントラスト感度の低下:暗い廊下や夜間の移動が危険になる
- まぶしさ(羞明):屋外や照明の強い場所で一時的に視界が奪われる
- 距離感・奥行き感の喪失:階段の踏み外しや段差の踏み外しが起きやすい
こうした視機能の変化は、本人が「老化のせい」と思い込みやすく、受診が遅れる傾向があります。ご家族が「最近つまずくことが増えた」「夜間の移動を怖がっている」と感じたら、白内障の可能性を疑って眼科受診を促してください。

白内障放置が認知症リスクを高めるという研究結果とは?
白内障の放置は、転倒・骨折だけでなく認知症リスクとも関係しています。視覚情報は脳への刺激の大部分を占めており、見えにくい状態が続くと脳への入力が慢性的に減少します。
アメリカのワシントン大学が行った「Adult Changes in Thought(ACT)」研究では、白内障手術を受けた高齢者は認知症の発症リスクが約30%低下することが明らかになりました。65歳以上の3,000人以上を対象に10年間追跡した大規模研究です。
視力低下によって外出が減り、社会的な交流が乏しくなることも認知機能の低下を加速させます。「見えないから出かけない」→「刺激が減る」→「脳が衰える」という悪循環は、想像以上に速く進みます。
逆に言えば、白内障手術で視力を回復させることは、認知症予防の観点からも意義があるということです。これは多くの眼科医が注目している重要な視点です。
白内障を放置し続けるとどんな合併症が起きるのか?
白内障は「放置しても命には関わらない」と思われがちですが、長期間放置すると深刻な合併症が生じることがあります。
- 水晶体融解緑内障:白内障が極度に進行すると、濁った水晶体のタンパク質が溶け出し、眼圧が急上昇する。激しい眼痛・頭痛・吐き気を伴い、緊急処置が必要になる。
- 膨化白内障による急性緑内障発作:水晶体が膨らんで房水の流れを塞ぎ、急激な眼圧上昇を引き起こす。視神経が障害されると視野が不可逆的に失われる。
- 手術難易度の上昇:白内障が進行するほど水晶体核が硬化・肥大化し、手術の難易度が上がります。超音波エネルギーの使用量が増え、角膜内皮細胞へのダメージリスクが高まります。
白内障が進行しすぎる前に手術を受けることで、安全性が高く回復もスムーズになります。「まだ見える」と感じているうちに受診・相談することが、結果的に最もリスクが低い選択です。
高齢者の白内障手術はいつ受けるべきか?タイミングの判断基準は?
手術のタイミングは「本人が日常生活に不自由を感じ始めたとき」が基本的な目安です。ただし、転倒リスクや認知症リスクを考えると、「不自由を感じる前」に検討することも重要です。
以下のサインが出てきたら、眼科への受診を強くおすすめします。
- 夜間や薄暗い場所での移動が怖くなった
- 段差でつまずく・転倒することが増えた
- テレビの字幕や新聞の文字が読みにくくなった
- 車のライトや太陽光が以前よりまぶしく感じる
- メガネを替えても視力が改善しない
- 外出の機会が減り、家に引きこもりがちになった
白内障手術は局所麻酔で行われ、手術時間は10〜15分程度です。日帰りで受けられるケースがほとんどで、身体への負担も軽微です。90代・100歳を超える方が手術を受けて視力を回復した事例もあります。「高齢だから手術は無理」という思い込みは、必ずしも正しくありません。
ただし、全身疾患(糖尿病・高血圧・心疾患など)がある場合は、術前に内科との連携が必要になることもあります。持病がある方ほど、早めに眼科で相談しておくことが肝要です。

眼内レンズの選び方で術後の生活はどう変わるのか?
白内障手術では、濁った水晶体を取り除いた後に「眼内レンズ」を挿入します。このレンズ選びが、術後の生活の質を大きく左右します。
主なレンズの種類と特徴は以下の通りです。
- 単焦点レンズ(保険適用):遠方または近方の1点にピントを合わせる。術後はメガネが必要になる場面もあるが、見え方が安定しやすい。
- 分節型2焦点レンズ(保険適用・選定療養):約70cmから遠方まで焦点が合う。日常生活の多くの場面でメガネ不要になりやすい。
- 3焦点眼内レンズ(自由診療):近方・中間・遠方のすべてにピントが合う。読書からスマートフォン、テレビ、運転まで幅広い距離に対応。
- 乱視矯正レンズ(トーリックレンズ):乱視を同時に矯正できる。乱視が強い方に適している。
どのレンズが最適かは、患者さんの生活スタイル・職業・趣味・既存の眼疾患によって異なります。「遠くがよく見えれば十分」という方と、「老眼鏡なしで本を読みたい」という方では、最適解が変わります。
重要なのは、担当医と十分に話し合い、自分の希望と生活環境を正直に伝えることです。「こんなことを言っていいのかな」と遠慮せず、日常のどんな場面で困っているかを具体的に伝えてください。

幕張久木元眼科の白内障手術はどんな特徴があるのか?
白内障手術を受ける眼科を選ぶ際、執刀医の経験と設備の両方を確認することが大切です。
幕張久木元眼科の院長・久木元延行医師は、東京医科歯科大学病院眼科に入局後、同大学病院の白内障・屈折矯正外来の主任を担当してきた経歴を持ちます。白内障手術と屈折矯正の専門外来を主任として率いた経験は、難症例への対応力と眼内レンズ選択の精度に直結します。
クリニックの主な特徴は以下の通りです。
- 日帰り白内障手術に対応:入院不要で身体的・経済的負担を軽減
- 眼科手術専用顕微鏡を導入:鮮明かつ詳細な視野で安全性に配慮した手術を実施
- 多焦点眼内レンズを複数取り扱い:保険適用の分節型2焦点レンズ、3焦点レンズ、乱視矯正レンズなど患者の希望に合わせて提案
- 土日祝日診療が可能:イオンモール幕張新都心グランドモール1階に立地し、仕事や家事で平日受診が難しい方にも対応
- 院内バリアフリー・駐車場完備:足腰が不安な高齢者や車椅子の方も安心して来院できる
- WEB予約システム導入:待ち時間中はイオンモール内での買い物も可能
診療理念は「高度医療をあたたかく提供する」「自分が受けたい眼科診療」。患者一人ひとりの希望をよく聞き、オーダーメイドの医療を提供することを大切にしています。
白内障による見えにくさを放置することは、転倒・骨折・認知症・手術難易度の上昇など、複数のリスクを同時に高めます。「まだ大丈夫」と感じているうちに専門医に相談することが、最もリスクの低い選択です。幕張久木元眼科の白内障診療では、東京医科歯科大学病院白内障専門外来元主任の院長が、患者さん一人ひとりに合った眼内レンズと手術タイミングを丁寧にご提案します。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
白内障を放置すると失明しますか?
白内障の放置で直接失明することはまれですが、水晶体融解緑内障や急性緑内障発作などの合併症が起きると視神経が不可逆的に障害され、視野・視力が永続的に失われるリスクがあります。早期受診が重要です。
白内障手術は何歳まで受けられますか?
年齢に上限はなく、90代・100歳を超える方が手術を受けて視力を回復した事例もあります。全身状態や持病の管理状況によって判断が変わるため、まず眼科と内科で相談することが大切です。
白内障の手術は痛いですか?どのくらい時間がかかりますか?
局所麻酔(点眼麻酔)で行われるため、手術中の痛みはほとんどありません。手術時間は10〜15分程度と短く、日帰りで受けられるケースがほとんどです。
多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズ、どちらを選べばよいですか?
生活スタイルや希望する見え方によって最適解が異なります。「遠くだけ見えればよい」なら単焦点、「メガネなしで読書もしたい」なら多焦点が候補になります。担当医と生活環境を具体的に話し合って決めることが重要です。
白内障手術後に転倒リスクは下がりますか?
視力・コントラスト感度・距離感が回復することで、転倒リスクの低減が期待できます。複数の研究で白内障手術後に転倒・骨折の発生率が低下したことが報告されています。
白内障手術を受けると認知症予防になりますか?
ワシントン大学の大規模研究(65歳以上3,000人以上・10年追跡)では、白内障手術を受けた高齢者は認知症発症リスクが約30%低下したと報告されています。視覚情報の回復が脳への刺激を増やし、認知機能の維持に寄与すると考えられています。
白内障の初期症状はどう見分ければよいですか?
視界全体がかすむ・まぶしさが増す・夜間の見えにくさ・色が黄色っぽく見えるなどが典型的な初期症状です。老眼と違い、メガネをかけても改善しない点が白内障の特徴です。
幕張久木元眼科の白内障手術の費用はどのくらいですか?
単焦点レンズを使用した白内障手術は保険適用で受けられます。多焦点眼内レンズは種類によって費用が異なります。詳細はクリニックに直接お問い合わせいただくか、診察時にご確認ください。
結論
白内障を放置することは、転倒・骨折・認知症・手術難易度の上昇という複数のリスクを同時に高める。「まだ見える」と感じているうちに眼科を受診し、手術のタイミングと眼内レンズの選択肢を専門医と話し合うことが、健康寿命を守る最善策です。幕張久木元眼科では、大学病院白内障専門外来元主任の院長が一人ひとりにオーダーメイドの診療を提供しています。
白内障治療について相談したい方へ
見えにくさによる生活への影響がある方は、幕張久木元眼科へお気軽にご相談ください。
検査結果や生活状況を踏まえながら、治療の選択肢について丁寧にご案内します。
著者情報
幕張久⽊元眼科 院⻑ 久⽊元延⾏

経歴
獨協医科大学 医学部医学科卒業
東京医科歯科大学病院 臨床研修医
東京医科歯科大学 眼科学講座 入局
東京都立広尾病院 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
東京都立多摩総合医療センター 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
– 白内障・屈折矯正外来 主任
– 糖尿病網膜症専門外来
– 医療安全管理リスクマネージャー
幕張久木元眼科開院
【資格】
日本眼科学会認定眼科専門医
水晶体嚢拡張リング認定医
難病指定医
ボトックス認定医(眼瞼痙攣、斜視)
光線力学療法認定医
【所属学会】
日本眼科学会
日本眼手術学会
日本白内障屈折矯正学会
日本網膜硝子体学会
日本糖尿病眼学会


