飛蚊症が急に増えたら危険?網膜剥離との違いと今すぐ受診すべき症状
- 2026年2月10日
- 眼科
飛蚊症とは・・・目の前に浮かぶ黒い影の正体
明るい空を見上げたとき、白い壁を眺めたとき、目の前に黒い点や糸くずのようなものが浮かんで見えたことはありませんか。
これが「飛蚊症」です。
飛蚊症は、視界に黒い点、ホコリや虫のようなものが飛んでいる、舞っているように見える状態を指します。読んで字のごとく、目の前をまるで蚊が飛んでいるように見えることから、この名前で呼ばれています。
一つだけ飛んで見える場合もあれば、いくつも見える場合もあります。黒い点や毛・虫のようなものが見える他、透明・半透明な糸くずやホコリのようなものが見えることもあります。目を動かすと同時に動いたり、視界の外に逃げていったりする見え方をします。

通常は中高年の方に起こりますが、近視の方、特に近視の度数が強い方では若いうちから飛蚊症が現れることがあります。10代後半から20代の方にも起こることがあります。
飛蚊症の原因・・・硝子体の変化が引き起こす症状
飛蚊症の原因は目の中にある「硝子体」と呼ばれる部分の濁りです。
硝子体は水晶体の後ろの部分で、眼球の中身の大部分を占めます。硝子体は99%の水分と1%のコラーゲン線維、ヒアルロン酸などでできた透明なゼリー状の組織です。この透明なゼリー状の硝子体の中に濁りが生じることで飛蚊症が起こります。
生理的な飛蚊症・・・加齢による自然な変化
硝子体は透明なゼリー状ですが、加齢とともに変化していきます。
歳をとるにつれて硝子体は徐々にゼリー状から液状へと変化します。その変化に伴い濁りが生じることがあります。さらに液状に変化していくと硝子体は収縮してしぼんでいき、以前はぴったりと張り付いていた眼球の内壁である網膜から少しずつ剥がれていきます。
この現象を「後部硝子体剥離」といいますが、後部硝子体剥離が起こるときにも硝子体に濁りが生じることがあります。特に網膜の視神経乳頭の部分に硝子体剥離が起こる際には比較的強い濁りが生じます。
こういった主に加齢変化で生じる飛蚊症を「生理的飛蚊症」といいます。病気ではないので生理的飛蚊症の場合はそのまま様子を見てかまいません。ただし、生理的飛蚊症に病的な飛蚊症が伴う場合もあるので注意が必要です。
病的な飛蚊症・・・網膜裂孔と網膜剥離のサイン
病的な飛蚊症を起こす病気として知っておきたいのは、網膜裂孔と網膜剥離です。
硝子体剥離が起こるときに、網膜に裂け目が生じたり、穴が開いたりすることがあります。この裂け目や穴を「網膜裂孔」「網膜円孔」といいます。加齢とともに起こる生理的な硝子体剥離に伴うこともありますが、眼球打撲、眼球に強い力がかかったときに起こることもあります。
網膜に裂け目や穴ができると、そこから網膜が剥がれていき「網膜剥離」という病気に進行してしまうことがあります。
網膜剥離とは・・・失明につながる重大な病気
網膜剥離は、網膜が何らかの原因により眼球壁側から剥離したことを指します。
網膜はものを見るための神経の膜で、10層の組織から構成されています。最も深い部分を網膜色素上皮と呼びます。網膜剥離とは、何らかの原因で網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまう状態のことです。
裂孔原性網膜剥離・・・最も多いタイプ
網膜剥離の中で最も多くみられるもので、網膜に孔(網膜裂孔・網膜円孔)が開いてしまい、目の中にある水(液化硝子体)がその孔を通って網膜の下に入り込むことで発生します。
一般に、はじめのうちは剥離した網膜の範囲は小さく、時間とともにだんだんこの範囲が拡大する経過をたどります。ただし、孔が大きいと一気に進みます。剥離が進行すればすべての網膜が剥がれてしまいます。
剥がれた網膜は光の刺激を脳に伝えることができません。また、剥がれた網膜には栄養が十分行き渡らなくなるため、網膜剥離の状態が長く続くと徐々に網膜の働きが低下してしまいます。そうなると、たとえ手術によって網膜が元の位置に戻せたとしても、見え方の回復が悪いといった後遺症を残すことがあります。
網膜剥離が起こりやすい人
裂孔原性網膜剥離の患者さんが多いのは、20代の若者と50代以上の高齢者ですが、どんな年代の人にも生じる可能性はあります。
特に強度の近視眼や片方の目が網膜剥離を起こしたことがある場合、また家族に網膜剥離にかかった人がいる場合に発病しやすい傾向があります。眼球を強くぶつけたり、叩かれたりした外傷後に発症することもあります。
アトピー性皮膚炎で、特に目のまわりの皮膚炎が重症な人にも多く見られます。かゆいあまりに何度もくり返して瞼をこすったり叩いたりすることが原因であろうと考えられています。白内障手術などの眼内手術を受けた人も、眼内の環境が変化することで網膜剥離が続発することがあります。
今すぐ受診すべき危険な症状・・・見逃してはいけないサイン
飛蚊症は多くの場合心配ありませんが、以下のような症状が現れている場合には何らかの病気が隠れている恐れがあるため、できるだけ早く眼科を受診する必要があります。
急激に飛蚊症の数が増えた
これまで見えていなかった黒い点が突然たくさん見えるようになった場合は要注意です。
後部硝子体剥離の6~19%に網膜裂孔がおこるとされており、急激な飛蚊症の増加は網膜裂孔や網膜剥離の前兆である可能性があります。
輪っかやリング状のものが見える
視界に輪っかのようなものが浮遊しているように見える場合、後部硝子体剥離が起こっている可能性があります。
後部硝子体剥離は60代前半に好発しますが、中等度以上の近視の場合には、10年位早くおこります。また、白内障の手術をうけた場合には、1年以内に出現することもあります。
光視症・・・稲妻のような光が見える

視界の中に閃光のようなものが見える症状を「光視症」といいます。
暗い場所で目を動かしたときに、視界の端に稲妻のような光がピカッと走る場合、硝子体が網膜を引っ張っている可能性があります。この状態が続くと網膜裂孔や網膜剥離につながることがあります。
視野の一部が欠ける、暗くなる
カーテンをかぶせられたように見えにくくなる症状や、視野の一部が欠ける症状は、網膜剥離が進行している可能性があります。
網膜剥離は治療せずに放置した場合、失明する可能性の高い病気です。視野欠損を自覚した場合は、緊急で眼科を受診する必要があります。
墨を流したように見える
突然視界に墨や煙が流れたように見える場合、硝子体出血が起こっている可能性があります。
硝子体出血は、網膜から出血が生じて硝子体の中に血液が混ざった状態です。糖尿病網膜症や網膜静脈分枝閉塞症、加齢黄斑変性などの病気で起こりますが、後部硝子体剥離に伴って起こる場合もあります。出血の量が多いときは視界が暗くなって視力が低下し、場合によってはほとんど見えなくなります。
飛蚊症の検査と診断・・・散瞳検査で原因を見極める
飛蚊症になったら、ぜひ眼科医の診察を受けることをおすすめします。
硝子体の変化が網膜に及んでいない限り、治療の必要はありませんが、硝子体の変性の進行が急激な場合、網膜に及んでしまう場合があります。その場合、網膜裂孔と呼ばれる網膜剥離の前段階の状態になったり、あるいはいきなり網膜剥離が生じたりしている可能性があります。
散瞳検査による眼底検査
瞳孔を大きくする目薬を点眼し、網膜が剥離しているかどうかを調べる眼底検査を行います。
目の前の黒い点が、硝子体の変性にとどまっていて、網膜に影響がないかどうかの重要な判断のために、眼科専門医による散瞳検査が必要です。
その他の検査
必要に応じて超音波検査などを行います。
当院では、散瞳検査や眼底検査を通じて原因を正確に評価し、経過観察でよいものか、早急な治療が必要かを判断しています。
飛蚊症の治療・・・生理的なものと病的なものの違い
生理的飛蚊症の場合
生理的なもの(生理的飛蚊症)は病気ではないので、特に治療を受ける必要はありません。
飛蚊症は症状が出たばかりの頃はとても気になってしまうものですが、次第に慣れていきあまり気にならなくなります。ただし、症状が完全になくなることはほとんどなく、明るい場所に出たときや白い壁を見たとき、ぼーっとしたときなど、たまに自覚するようになります。
網膜裂孔の場合・・・レーザー治療
放っておくと網膜剥離に進展してしまう可能性があるため、レーザーによる治療の対象となります。
網膜裂孔の周囲をレーザーで焼き固める治療法で、「網膜光凝固術」といいます。レーザー治療をすれば100%安心というわけではありませんが、そのまま放置しておくよりはずいぶん網膜剥離の発生を抑えることができます。
当院では、レーザー治療で対応可能な場合は日帰り治療を行っています。
網膜剥離の場合・・・手術が必要
すでに網膜剥離が発生してしまった場合、多くは手術が必要となります。
手術は大きく分けて2つの方法があります。一つは目の外から網膜裂孔に相当する部分にあて物をあてて、さらに孔の周りに熱凝固や冷凍凝固を行って剥離した網膜を剥がれにくくし、必要があれば網膜の下に溜まった水を抜くというやり方です。
もう一つの方法は、目の中に細い手術器具を入れ、目の中から網膜剥離を治療する「硝子体手術」という方法です。この方法では、剥がれた網膜を押さえるために、ほぼ全例で目の中に空気や特殊なガスあるいはシリコーンオイルを入れます。
手術が必要と判断される場合には、速やかに連携医療機関へ紹介する体制を整えています。
幕張久木元眼科の一般眼科診療・・・地域のかかりつけ眼科として
幕張久木元眼科では、地域の皆さまの「見え方の変化」や「目の不調」に幅広く対応する一般眼科診療を行っています。
ドライアイ、眼精疲労、飛蚊症、ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)といった日常的な眼疾患から、早期対応が重要となる網膜疾患まで、丁寧な診察と適切な検査を通じて診断・治療を行っています。
飛蚊症への対応
飛蚊症については、加齢変化による生理的なものから、網膜裂孔・網膜剥離などの病的な原因まで幅広く存在することから、散瞳検査や眼底検査を通じて原因を正確に評価し、経過観察でよいものか、早急な治療が必要かを判断しています。
レーザー治療で対応可能な場合は日帰り治療を行い、手術が必要と判断される場合には、速やかに連携医療機関へ紹介する体制を整えています。
一般眼科として大切にしていること
当院では、一時的な症状の改善だけでなく、将来の視機能を守ることを重視した診療を行っています。
検査結果や治療方針については、できる限り分かりやすく説明し、患者さまがご自身の目の状態を理解したうえで治療に臨めるよう心がけています。
目の症状は軽く感じられても、背景に疾患が隠れているケースも少なくないため、念のため受診したいという段階からでも安心して相談できる体制を整えています。日常的な目の違和感から、専門的な判断が必要な症状まで、地域のかかりつけ眼科として、安心して受診できる診療体制を整えていることが特徴です。
まとめ・・・飛蚊症は早期受診が大切
飛蚊症の多くは加齢による生理的な変化で、心配のないものです。
しかし、急に飛蚊症の数が増えた、輪っかが見える、光視症がある、視野の一部が欠けるといった症状がある場合は、網膜裂孔や網膜剥離の可能性があります。
網膜剥離は早期に治療することで、深刻な視力障害を予防できる可能性も高くなります。早期発見・早期治療が何より大切です。
飛蚊症や視野の異常を感じたときは、迷わずお近くの眼科を受診しましょう。また、40歳以降は日ごろから年に一度の眼底検査を受け、「自分の目のホームドクター」となる地域のかかりつけ眼科を持っておくと安心です。
幕張久木元眼科では、飛蚊症をはじめとする一般眼科診療を幅広く行っています。「様子見でいいのか不安」という方でも、一度きちんと診てもらえる安心感があります。目の不調を「いつものこと」で終わらせず、お気軽にご相談ください。
著者情報
幕張久木元眼科 院長 久木元 延行

経歴
獨協医科大学 医学部医学科卒業
東京医科歯科大学病院 臨床研修医
東京医科歯科大学 眼科学講座 入局
東京都立広尾病院 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
東京都立多摩総合医療センター 眼科
東京医科歯科大学病院 眼科
– 白内障・屈折矯正外来 主任
– 糖尿病網膜症専門外来
– 医療安全管理リスクマネージャー
幕張久木元眼科開院
資格
日本眼科学会認定眼科専門医
水晶体嚢拡張リング認定医
難病指定医
ボトックス認定医(眼瞼痙攣、斜視)
光線力学療法認定医
所属学会
日本眼科学会
日本眼手術学会
日本白内障屈折矯正学会
日本網膜硝子体学会
日本糖尿病眼学会


