多焦点レンズ選びの7つのポイント|白内障手術の最新情報
- 2025年10月17日
- 白内障
多焦点レンズとは?白内障手術における選択肢

白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入する手術です。この眼内レンズには大きく分けて「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」の2種類があります。
単焦点レンズは一つの距離(遠くか近くのどちらか)にしかピントが合わないため、手術後も老眼鏡などが必要になることがあります。一方、多焦点レンズは複数の距離にピントを合わせることができるため、眼鏡に頼らない生活を実現できる可能性があるのです。
近年の技術進歩により、多焦点レンズの種類も増え、2025年現在では回折型、焦点深度拡張型(EDOF)、連続焦点型など様々なタイプが登場しています。それぞれ特徴が異なるため、自分のライフスタイルに合ったレンズ選びが重要になります。
多焦点レンズ選びの7つのポイント

多焦点レンズを選ぶ際には、以下の7つのポイントを考慮することが大切です。これらを踏まえて、自分に最適なレンズを選びましょう。
1. ライフスタイルに合わせた選択
多焦点レンズを選ぶ際、最も重要なのはご自身のライフスタイルです。普段の生活で何を見ることが多いのか、どんな距離で作業をすることが多いのかを考えましょう。
例えば、読書が趣味の方は近距離の見え方を重視したレンズが適しています。ゴルフやドライブが好きな方は遠方の見え方が良いレンズがおすすめです。パソコン作業が多い方は中間距離(60cm〜1m)の見え方が良いレンズが適しているでしょう。
ご自身の生活パターンを医師に詳しく伝えることで、最適なレンズを提案してもらえます。
2. レンズのタイプを理解する
多焦点レンズには主に以下のタイプがあります。
- 回折型多焦点レンズ:遠くから近くまで複数の距離にピントを合わせられますが、光がにじむ「ハロー・グレア」が生じることがあります。
- 焦点深度拡張型(EDOF):ハロー・グレアが少なく自然な見え方ですが、近方の見え方がやや弱いことがあります。
- 3焦点レンズ:遠方・中間・近方の3点にピントが合います。
- 連続焦点レンズ:ある範囲の距離に滑らかにピントを合わせ続けることができます。
2025年現在、焦点深度拡張型レンズが約63%、連続焦点レンズが約13%、3焦点レンズが約24%の割合で使用されています。
3. 費用と保険適用の確認
多焦点レンズには「選定療養」対象の国内承認レンズと「全額自費診療」の国内未承認レンズがあります。選定療養対象のレンズは費用負担を抑えられますが、自費診療のレンズは高額になります。
2025年現在、選定療養対象の多焦点レンズでは、テクニスオデッセイ、テクニスシナジー、クラレオンパンオプティクスなどが人気です。費用面も含めて医師と相談しながら選ぶことが大切です。
どのレンズが自分に合っているのか、費用対効果も含めてじっくり検討しましょう。
4. 乱視の有無を考慮する
乱視がある場合は、乱視矯正機能付きの「トーリック多焦点レンズ」を選ぶことが重要です。乱視を矯正しないと、せっかくの多焦点レンズの効果が十分に発揮されません。
現在、多焦点レンズを使用している方のうち約27%がトーリックレンズを選択しています。乱視の程度によっては、通常の多焦点レンズよりもトーリックレンズの方が適している場合があります。
乱視の状態は術前検査でわかりますので、医師の診断を受けてから適切なレンズを選びましょう。
5. 術後の見え方と副作用を理解する
多焦点レンズには素晴らしいメリットがある一方で、いくつかの副作用も知っておく必要があります。
多焦点レンズ特有の症状として「ハロー・グレア」と呼ばれる、光の周りに輪が見えたり、光がまぶしく感じたりする現象があります。また、コントラスト感度(明暗の差を識別する能力)が低下することもあります。
これらの症状は人によって感じ方が異なり、時間の経過とともに慣れる方も多いですが、中には不快に感じ続ける方もいます。実際、多焦点レンズを挿入した方の約7.2%が何らかの不満を感じ、約1.2%の方がレンズ交換に至ったというデータもあります。
夜間の運転が多い方や、精密な作業を行う職業の方(カメラマン、デザイナー、歯科医など)は、これらの症状が仕事や生活に影響する可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
6. 医師・医療機関の選択
多焦点レンズの手術は、医師の技術や経験によって結果が大きく左右されます。多焦点レンズに精通した眼科医を選ぶことが非常に重要です。
医師選びのポイントとしては、多焦点レンズの手術実績が豊富であること、様々な種類のレンズを取り扱っていること、術前検査が詳細であることなどが挙げられます。
どうですか?ご自身の目の状態や希望に合わせて、丁寧に説明してくれる医師を選ぶことが大切です。
当院では、患者さん一人ひとりの生活スタイルや希望をしっかりとお聞きした上で、最適なレンズを提案しています。
7. 術後のケアと経過を考慮する
多焦点レンズの効果を最大限に発揮するためには、術後のケアも重要です。術後は定期的な検診を受け、目の状態を確認することが必要です。
また、多焦点レンズに慣れるまでには個人差がありますが、通常1〜3ヶ月程度かかると言われています。この期間は脳が新しい見え方に適応する大切な時期です。
多焦点レンズの見え方に慣れるまでは、無理をせず、徐々に日常生活に戻ることをおすすめします。
多焦点レンズは「このレンズが間違いなくよい」というものではなく、いかに皆さんの生活にあったレンズ・距離を選択するかが重要です。
多焦点レンズの最新トレンド(2025年)

2025年現在、多焦点レンズの技術は日々進化しています。最新のトレンドとしては、以下のような点が挙げられます。
まず、焦点深度拡張型(EDOF)レンズの人気が高まっています。これは、ある範囲の距離に滑らかにピントを合わせ続けることができるレンズで、従来の多焦点レンズよりも自然な見え方が特徴です。
また、ハロー・グレアなどの副作用を軽減する新しい光学デザインの開発も進んでいます。光をより効率的に、そして正確に網膜へ導く技術により、夜間の見え方も改善されつつあります。
さらに、乱視矯正機能を持つトーリック多焦点レンズの種類も増えており、より多くの患者さんが多焦点レンズの恩恵を受けられるようになっています。
将来的には、目の中の筋肉の動きに連動してレンズ自体が厚みを変えたり位置を動かしたりする「調節型眼内レンズ」の開発も進められています。これが実用化されれば、より自然な見え方が実現するかもしれません。
まとめ:自分に合った多焦点レンズを選ぶために

多焦点レンズ選びで最も大切なのは、ご自身のライフスタイルと目の状態に合ったレンズを選ぶことです。以下の7つのポイントを参考に、医師とよく相談しながら決めていきましょう。
- ライフスタイルに合わせた選択:日常生活で何を見ることが多いかを考慮する
- レンズのタイプを理解する:回折型、EDOF型、3焦点型など特徴を把握する
- 費用と保険適用の確認:選定療養か自費診療かを確認する
- 乱視の有無を考慮する:必要に応じてトーリックレンズを検討する
- 術後の見え方と副作用を理解する:ハロー・グレアなどの可能性を知っておく
- 医師・医療機関の選択:経験豊富な医師を選ぶ
- 術後のケアと経過を考慮する:適応期間があることを理解する
白内障手術と多焦点レンズの技術は日々進化しています。最新の情報を得ながら、ご自身に最適なレンズを選んでください。
当院では患者さん一人ひとりのライフスタイルや希望をしっかりとお聞きした上で、最適な多焦点レンズを提案しています。白内障手術や多焦点レンズについてご不明な点があれば、お気軽に幕張久木元眼科までご相談ください。
 
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