白内障の症状とは?初期症状・見え方・予防法から手術のタイミングまで徹底解説
- 2025年6月20日
- 白内障
白内障は年齢を重ねるにつれて誰にでも起こり得る目の病気であり、視界のかすみや光のまぶしさなど、日常生活にさまざまな不便をもたらします。
初期症状は見過ごされがちですが、進行すると視力が大きく低下し、眼鏡やコンタクトレンズでは改善できなくなるケースもあるので、注意が必要です。
本記事では、白内障の具体的な症状や見え方の変化、予防法から手術のタイミングまで詳しく解説します。視界に違和感を覚えた場合は、ぜひ参考にしてください。
白内障とは何か
白内障は視界のかすみや光のまぶしさを引き起こし、生活の質に影響を与える疾患です。
下記では、具体的な症状や発症メカニズムについて詳しく解説します。
白内障の概要と水晶体の役割
目の中心には水晶体という透明なレンズが存在し、外部から入る光を適切に屈折させて網膜に焦点を合わせる大切な役割を果たしています。
水晶体は若い頃は柔軟で透明ですが、加齢や紫外線、喫煙、生活習慣病などの影響でタンパク質が変性し、徐々に白く濁り始めるのです。濁った水晶体は光を正確に通過させることができず、視界がかすむ、ぼやけるといった症状を引き起こします。
上記の状態が白内障です。進行すると視力低下が進み、眼鏡やコンタクトレンズを使用しても視界の質が改善されなくなります。
早期に発見して適切な対応を取ることが、生活の質を維持するために大切です。
白内障の主な症状
白内障でよく見られる主な症状は、以下が挙げられます。
- 視界のかすみやぼやけ
- 強い光に対するまぶしさ
- 物が二重・三重に見える(複視)
- 色の識別が難しくなる(黄色がかって見える)
- 眼鏡やコンタクトで視力が改善しない
白内障で最もよく見られる症状は、視界がかすんだり、物が二重に見えたりする現象です。とくに強い光を浴びた際にまぶしさを感じやすく、太陽光や車のヘッドライトなどの光源が乱反射して見えるため、外出時の不快感が強まります。
色の見え方にも変化が現れ、全体的に黄色がかったり、青色が薄く見えるようになります。視力低下は徐々に進行し、新聞の小さな文字が読みづらくなる、細かい作業が困難になるなどの不便さを感じる場面が増えるでしょう。
眼鏡やコンタクトレンズでの矯正が難しくなり、生活に支障をきたす場合は医療機関での受診が必要です。
初期症状によくある例
白内障の初期では、わずかな視界のかすみや、光に対する敏感な反応が見られる程度で、大きな不便は感じないことが多いです。
しかし、夕方や夜間の運転時に対向車のライトが異常にまぶしく感じられる、部屋の蛍光灯の光が強すぎるといった変化が起こります。読書中に文字がにじんで見えたり、ピントが合いにくくなることも特徴です。
さらに、室外では晴天時にまぶしさを強く感じる場面が増え、無意識に目を細める動作が増加します。
上記のような小さな違和感を見過ごすと症状は徐々に悪化し、生活への影響が大きくなるため、違和感を覚えた時点で眼科受診を検討することが大切です。
進行した場合の見え方の変化
白内障が進行すると、視界全体に白いベールをかけたような状態になり、明るい場所では光が乱反射して強いまぶしさが生じます。とくに夜間の運転時は対向車のヘッドライトが大きくぼやけて見え、安全運転に重大な支障をきたすので、注意が必要です。
また、物の輪郭が不明瞭になり、細かい作業や読書、テレビ鑑賞といった日常の娯楽すら楽しめなくなる場合もあります。顔の表情が読み取りにくくなるため、人とのコミュニケーションにも影響を及ぼすでしょう。
眼鏡やコンタクトレンズを新調しても視力の改善は見込めず、日常生活全般に大きな支障を感じる段階に入ります。
上記のような状況では、手術による治療が検討されることが一般的です。
白内障による日常生活の困りごと
白内障が進行すると、視力低下により家庭内での家事や外出時の行動に大きな制限が生じます。たとえば、料理中に包丁の刃先が見えづらくなり、指を切る危険性が高まります。掃除の際も細かなゴミや汚れが認識できず、清掃の質が低下する可能性もあるでしょう。
また、階段の段差に気付かず転倒するリスクが増し、とくに高齢者の場合は骨折などの重大なけがにつながる恐れもあります。スマートフォンやテレビの文字が見えにくくなることで情報収集が困難になり、社会とのつながりを感じにくくなる傾向も見られます。
夜間の外出は特に危険性が高まるため、早めに治療を検討することが欠かせません。
白内障の種類と原因
白内障は原因や発症時期により分類されます。それぞれの特徴と原因について具体的に解説します。
加齢性白内障
【加齢性白内障の主なリスク要因】
リスク要因 |
内容 |
紫外線 |
長時間の紫外線曝露が影響 |
喫煙 |
活性酸素の影響で進行しやすい |
糖尿病 |
高血糖が水晶体に悪影響 |
ステロイド薬の使用 |
長期使用で発症リスク上昇 |
栄養不足 |
抗酸化物質の不足が影響 |
最も一般的な白内障は加齢性白内障です。
加齢によって水晶体の透明度が失われ、視界が徐々にぼやけていきます。とくに紫外線や生活習慣病、喫煙などの影響が発症リスクを高める要因となりえます。
40代から徐々に進行し、60代以降では半数以上の人に症状が見られるといわれています。糖尿病を持つ方は発症リスクが高く、血糖値の管理が大切です。加齢性白内障は自然に治癒することがないため、視力低下を感じた際は眼科を受診し、必要に応じた適切な治療を受けることが勧められます。
先天性白内障
先天性白内障は、生まれつき水晶体に濁りがある状態で発見される疾患です。
主な原因は遺伝的要因や母体内での感染症、代謝異常などが挙げられます。乳幼児期に発見されることが多く、視力の発達に大きな影響を与えます。
適切な時期に治療を行わない場合、弱視や視覚障害が残る恐れがあるため、早期の診断と対応が求められます。手術によって濁った水晶体を除去する場合もあり、視覚機能の発達を促すためのリハビリテーションも大切な治療の一環です。
その他の白内障
加齢や先天性以外にも、外傷や病気、薬剤によるものなど様々な原因で白内障が発症します。外傷性白内障は、目への強い衝撃や事故によって水晶体が損傷し、急速に進行します。放射線治療や長期のステロイド使用も発症リスクを高めるので、注意が必要です。
また、糖尿病患者に多く見られる代謝性白内障は、血糖値の上昇が水晶体に影響を与えることで発症します。若年層でも発症することがあるため、生活習慣病の管理や定期的な眼科検診が大切です。
白内障の予防と進行を遅らせる方法
白内障は完全に予防できるわけではありませんが、生活習慣を見直し、リスクを抑えることで発症を遅らせることが可能です。日常生活で意識したい具体的な対策を紹介します。
生活習慣の改善
白内障の発症や進行を遅らせるためには、健康的な生活習慣が大切です。発症リスクを抑えるために、以下の生活習慣の見直しが推奨されます。
- 外出時はUVカット機能のあるサングラスを着用する
- 抗酸化作用のある食品(ビタミンC・E、ルテイン)を積極的に摂取する
- 禁煙し、喫煙習慣を断つ
- 血糖値を適切に管理する
- 定期的な運動で代謝機能を改善する
まず、紫外線を長時間浴びることは水晶体に悪影響を与えるため、外出時はサングラスや帽子で目を保護しましょう。
また、バランスの取れた食事を心掛けることも大切です。とくにビタミンCやビタミンE、ルテインなどの抗酸化成分は、水晶体の酸化ストレスを抑制するとされています。
さらに、喫煙は発症リスクを高めるため、禁煙が強く推奨されます。血糖値の管理や適度な運動も代謝機能を整え、白内障予防に効果的です。
定期検診の重要性
白内障は初期段階では自覚症状が少なく、気付かないうちに進行しているケースが多く見られます。
早期発見と適切な治療のためには、定期的な眼科検診が欠かせません。とくに40歳を過ぎた頃からは、年に1回の検診が推奨されます。糖尿病などの持病がある場合は、さらに頻度を高めることが望ましいです。
検診では視力測定や眼底検査、光干渉断層計(OCT)などを用いて、白内障の有無や進行状況を詳しく確認します。自覚症状が出る前から適切な管理を行うことで、進行を遅らせることが可能です。
白内障が疑われる時の受診・診断
白内障かもしれないと感じたときは、早めの受診が大切です。検査の流れや受診の目安となる症状を知り、適切なタイミングで専門医を訪れましょう。
検査の流れとポイント
【白内障診断時の主な検査項目】
検査項目 |
目的・内容 |
視力検査 |
視力低下の程度を確認 |
眼圧検査 |
緑内障など他の疾患の除外 |
細隙灯顕微鏡検査 |
水晶体の濁りを直接観察 |
OCT検査 |
網膜・視神経の状態を評価 |
眼底検査 |
合併症の有無を確認 |
白内障が疑われる場合、眼科では問診から始まり、視力検査や眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査などを実施するのが一般的です。
視力検査では、裸眼や矯正後の視力を測定し、視力低下の程度を確認します。細隙灯顕微鏡検査では、水晶体の濁りの程度や位置を詳細に観察し、白内障の進行状況を診断するのです。場合によっては、OCT(光干渉断層計)を使用して網膜や視神経の状態もチェックします。
上記の検査結果をもとに、今後の治療方針や手術の必要性について丁寧に説明が行われます。
症状が進行している場合のサイン
白内障が進行している場合、視界のかすみやまぶしさだけでなく、日常生活に明らかな支障をきたす症状が現れるのが特徴です。
新聞や本の文字が読みづらくなる、顔の表情が認識しにくくなる、階段の段差に気付かず転びそうになるなど、危険を感じる場面が増えます。とくに夜間の運転時には、ライトの光が大きく広がって見え、視界が極端に悪化します。
上記のような状況に該当する場合は、早急な受診と治療の検討が必要です。放置すると視力はさらに低下し、生活の質が著しく損なわれます。
白内障手術のタイミングと治療方法
白内障は進行性の疾患であるため、適切なタイミングでの手術が大切です。具体的な判断基準と、手術以外の治療法についても確認しておきましょう。
手術のタイミングを判断する目安
白内障手術のタイミングは、視力低下が生活に支障を及ぼし始めた段階が目安です。新聞やスマートフォンの文字が読みづらくなったり、夜間の運転が困難になったりした場合は、手術の検討が必要です。
また、眼鏡やコンタクトレンズを新調しても視力が回復しない場合も、手術を考えるべき時期といえます。手術は医師と相談し、生活環境や仕事への影響、患者の希望を踏まえて決定します。
手術によって視力は大幅に改善し、生活の質が向上することが期待できるでしょう。
主な治療方法
白内障の治療は症状の進行度に応じて選択されます。初期段階では薬物療法による進行抑制が行われますが、視力への影響が大きい場合は手術が一般的です。
それぞれの治療法の内容を確認しておきましょう。
初期治療(点眼薬・内服薬)
白内障の初期には、進行を抑えるための点眼薬や内服薬が処方されることがあります。薬は水晶体の酸化を防ぎ、濁りの進行を緩やかにする目的で使用されます。
ただし、完全に症状を改善するものではなく、あくまで進行を遅らせるための対症療法です。生活習慣の改善と併用しながら症状の進行を抑えることが求められます。定期的な検査で進行状況を確認し、必要に応じて治療方針の見直しが行われます。
手術療法(白内障手術)
白内障の根本的な治療は手術による水晶体の置換です。手術では超音波乳化吸引術を用いて濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入します。
手術は通常日帰りで行われ、短時間で視力の改善が期待できます。使用するレンズには単焦点と多焦点の2種類があり、患者のライフスタイルや希望に合わせて選択可能です。
レンズ種類 |
特徴 |
保険適用 |
単焦点レンズ |
ピント合わせは1カ所 |
保険適用 |
多焦点レンズ |
複数の距離にピントが合う |
選定療養・自由診療 |
手術後は定期的な検診を受けることで、視力の回復状況や合併症の有無を確認します。術後のケアが良好であれば、快適な視界を長期間維持できます。
術後の経過と注意点
手術後は視力が大きく改善されるものの、安定するまでに数日から数週間かかる場合があります。術後は医師の指示に従い、処方された点眼薬を適切に使用することが欠かせません。
また、強い光やほこりを避けるよう心掛け、清潔な環境を維持することも大切です。
術後しばらくは激しい運動や重い物を持つ行為は控え、目に負担をかけないよう注意します。異常を感じた場合はすぐに受診し、適切な処置を受けましょう。
白内障の症状に対して不安のある方は「久木元眼科」へ
白内障による視界の不調や生活への影響を感じた場合は、早めの専門医受診が大切です。
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